真side

138

 礼さんと連絡がつかなくなり二週間が経過。俺は礼さんの行きそうな場所を必死で捜した。


 でもMILKYも本宮corporationの受付嬢も、部外者の俺には何も教えてくれなかった。


 だから本宮氏が倒れたことを、俺が知るわけもなく、二週間ぶりに逢った礼さんから事実を聞いて、俺は愕然とした。


 ――『真君、落ち着いて聞いて。私……離婚を取り止めたの。本宮とは別れない』


 嘘だろ?


 ――『意識は戻ったけど、私が傍にいないと本宮は生きていけないわ。空も……この状態で置いていけない。だから離婚は取り止めたの』


 俺は……?


 俺だって、礼さんが必要なんだ。

 別れることなんて、できない。


 ――『もう終わりにしましょう。お互い大人たちなんだから、しつこくしないで。さようなら』


 もう終わりにしましょう?

 しつこくしないで?


 今までのことは、俺の思い上がりで全部幻想だったのか……。


 想いが伝わらない不甲斐なさから、涙が溢れ落ちた。


 でも礼さんの気持ちが変わることはなかった。


 ――礼……


 俺は……君の幸せを……


 祈っているよ……。


 歩む道が違っても……


 生涯……君だけを……


 愛している。



 ――俺達の恋は、何も始まらないまま終わりを告げた。

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