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 義理の母と娘の二人暮らし。

 空は中学三年生になりますます反抗的になった。私も仕事で家を不在にすることが多く、家政婦を雇っても空は悪態をつき次々と解雇する。


 名門私立ルミナ聖心女学院大学附属中学校でも問題行動を起こし、私は保護者として頻繁に呼びだされた。


 勉強なんてまったくしない。入学時の成績は常に学年でトップだった空が、中学三年生になり、一学期の成績はクラスでも最下位まで落ち込んだ。遅刻、早退、無断欠席、定期テストの答案用紙には氏名しか書かないのだから、それも当然だ。


 メイクや服装も日増しに派手になり、私と会話は交わすけれど、私の忠告は一切聞こうとはしない。


 途方に暮れ、雇った家庭教師も一ヶ月と持たない。家庭教師の方から断られてしまうのが現状だ。


 そんな時、ふと思った。

 空には、空の気持ちを理解出来る話し相手が必要なんじゃないかって。


 成績を上げることは、正直どうでもよかった。

 ルミナ聖心女学院大学附属中学校から附属高校に進学できなくても、公立高校への進学や海外留学の選択肢もある。


 それよりも、空の悩みを聞いてくれる相手、空の心の寂しさを埋めることの出来る相手……。


 そんな人物を捜していた時に、相応しい相手がMILKYで働いていることを思い出す。


 西本真。公立大学の四年生、学部は教育学部。四月からは進学塾の講師。年齢は三十歳で人生経験もある。


 経歴はもちろんだが、西本さんを選んだ理由は彼の人柄だ。性格は温厚。寧ろ、鈍いくらいだ。叱咤や叱責にも打たれ強く、少々のことは精神面に堪えない。


 西本さんなら、空を変えてくれるかも……。


 私は微かな期待を抱きながら、西本さんを空の家庭教師に採用した。これは義母としての一か八かの賭けだった。


 ――そして家庭教師初日……。

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