悪魔とロリコン三十男

斎藤ロベール

悪魔とロリコン三十男

「あーあ、あしたも仕事か。」

帰宅して早々、俺はひと風呂浴び、コンビニ食を並べてワインを開けた。

十年前までは「あしたも学校か」と言っていた。何の進歩もない。

習慣的にパソコンを起動した。

毎日が虚しかった。その虚しさから片時でも離れるために、酒を飲み、非現実の世界に遊ぶ。こんな虚しさを抱えた人間が何かの中毒になるのは、事の必然だ。

ネット中毒にアルコール中毒予備軍。しかし、今日はどうにも気分が乗らなかった。下半身裸でティッシュも用意してあるのに、アダルトサイトへ行く気がしない。ワイングラスを一気に空けた。ワインだけはビオディナミだ。

「お?」

後ろ手をついたすぐ横の畳の上に、ゴキブリが一匹歩いている。走ってはいなかった。寧ろ、よたよたして見えた。その姿は俺に、殆ど今の自分を思わせた。

「腹、空いてる?」

俺はキュウリを差し出してみた。果たしてゴキブリはそれに近寄り、齧り出した。

「これも食べるか?」

焼き鳥の缶詰からひと切れやると、それにもまた口を付けた。嬉しかった。

俺はパソコンそっちのけで、ゴキブリに向き合いながらワインを飲んだ。

ゴキブリは全然逃げる気配がない。あるものを何でも食わせてやりたくなった。

しかし、早くも満足したらしいゴキブリは、ゆっくりと部屋の隅へ歩き去っていった。その時、

「うわっ! 何だ!」

飛び上がるほど驚いた。俺のすぐ側に、いつのまにか全裸の女の子が立っていたのだ。日本人ではない。肌が浅黒く、波打った髪は漆黒の色をしている。文句なしの美少女だった。俺はロリコンなのである。

見惚れていたら、少女は、ここに居ることに今気がついたのか、

「くそっ! バカ上司め! どうする気なんだ。あ、ほら、お前、早くあたしのケツの穴舐めろよ!」

小学生か中学生くらいのその少女は、後ろを向くと、こちらに尻を広げて突き出した。

「あ!」

強烈な女子の体臭と、明らかに洗っていない肛門のにおいとが、俺に眩暈を起こさせた。

「今日、誕生日なんだろ? 年の数だけあたしに射精していいぞ。て言うか、しろ。」


誕生日のことなどすっかり忘れていたその晩、俺は人生三十三年目において、ついに童貞を失った。

「頑張れ! 男らしいぞ! ほら、あたしもまたイキそうだ!」

「あ、だめだ・・・」

「挫けるな!」

小学生の腹の中に三十三回めの射精を終えて、次に気が付いたのは朝の九時だった。遅刻である。体調が優れない事を理由に、俺は会社へ欠勤の電話を入れた。

いきなり休みが訪れた。

俺の横では、裸の少女が眠っている。布団が全体、汗臭かった。それも、女臭かった。少女は、人一倍どころか、数倍も体臭が濃いようだ。

一体誰なのか。自己紹介も何もなく、昨日は理性を失ってしまった。先の心配も後悔もない野生化した時間は実に爽快だった。

「人形なんかじゃないよな。」

少女の小さな乳房は赤紫の痣だらけだった。俺が夢中になって吸ったせいである。よく見れば、腋の下にも、臍の周りにも痣があった。

股間が紅梅のように紅く腫れ、大きく膨れている。

「本物は見るの初めてだな。昨日は夢中で差し込んじゃったし。しかも子供のだ。」

おしっこのにおいにまた興奮してきた俺は、舌でにおいのする辺りを撫で付けた。

「ああ、しみる! お前、頑張りすぎだよ。」

少女が眉間に皺を寄せてそう言った。俺はやめなかった。

「ううん、痛いけどまた感じてきた。お前さあ、そんなに女が欲しかったら、ちょくちょくフーゾクとか行ってこいよ。昨日はあたしも頑張ったけど、こんな子供の体じゃもたないよ。」

「また勃ってるんだけど。」

「可哀想な奴だな。実体化してたらお前に食い殺されそうだ。あ、おい、イクぞ。イッたらあたし小便漏らすからな。うん、だめ!」

茶色の肛門がぴくぴく痙攣を始め、言葉の通り、俺の口の中へ、朝の濃い小便が大量に飛び込んできた。俺は舌を動かし続けた。

「もう、ちょっと、許してくれ! 馬鹿になっちゃう!」

「入れるぞ。」

「えっ? まだやるのか? ぎゃう!」

一夜にして俺はこの子の中毒になっていた。


「風呂、入る?」

朝食の用意をしながら俺は聞いた。少女は

「体じゅう痛いからいい。お仕置きされたみたいだ。股が腫れてて普通に座れないじゃないか。」

「お前、誰なの? 名前は?」

「名前はソラだ。正直言って、お前を誘惑する悪魔だよ。でもこの担当、もう外れたい。」

「悪魔? 神様とかも居るの?」

「あたしは悪魔だって言ってるだろ。だったら神だっているよ。」

「神様に話がしたい。」

「それより、あたしの上司になんか言え。こんな子供の格好でいきなり実体派遣されたし、実体化して誘惑したらお前に殺されそうだし」

「上司にはありがとうと言いたい。ずっと居てくれていいぞ。」

「馬鹿。あたしに良いことがなんにもない。お前が本来あたしの奴隷なんだ。でもこれじゃ、あたしがお前の性奴隷みたいじゃないか。」

俺はパンとコーヒーを卓袱台に出した。ソラはすぐ食べ出した。

そこへ、昨日のゴキブリが現れた。

「お!」

俺は早速、自分のパンを分けてやった。ゴキブリは寄ってきて齧り始めた。

それを見たソラが

「それか! 上司の手先だ、その虫は。人間なら普通、殺すだろ。早く殺せ。そうしたら、きっとあたしも戻れる。」

「馬鹿言うな。俺の唯一の理解者だ。」

「馬鹿はお前だ。何が理解者だ。お蔭であたしはお前のプレゼントにされたんだ。」

「上司ありがとう。ゴキブリありがとう。」

「・・・パンおかわり。」

朝食を終えたソラは全裸で横になり

「この体じゃ何にもできないな。どうしよう。」

「居てくれればいいって。誘惑されてやるよ。でも俺を元気にしてくれ。」

「一部分、あんなに元気じゃないか。これ以上、誘惑されなくていい。」

季節は春。桜もじきに咲く。春眠暁を覚えず、処処に啼鳥を聞く。長閑ではあっても、俺の心は晴れない。

「明日は仕事か。」

「馬鹿、明日は土曜日だ。これで三連休だろ。喜べ。」

連休。少しだけ、元気になった。ソラは

「食ったらウンコしたくなったな。」

「するとこ、見せてよ。」

「ウンコ食わせるぞ。」

「いいよ。」

「・・・悪魔、辞めたくなってきた。」

「俺も仕事辞めたい。」

「それとは関係ないだろ。じゃあ来い。後悔させてやる。」

取り敢えず、じっくりと観察させてもらった。ウンコは食べなかったが、した後の肛門を舐めてやると言ったら、

「よせ、恥ずかしい! 恥ずかしいって、どういうことか分かった! やっぱり風呂に入ってくる。お前は来るな!」

流しもしないで風呂場へ駆け込んだ。


「ソラ、買い物に行こう。今晩の夕食がない。」

「一人で行けよ。股が痛くて歩きたくない。そうだ、行ったついでに子供用のブラジャーとパンティー買ってこい。」

「そんなリスクのあることできるか。俺のジャージ着て、サンダル履いて付いてきな。」

「乳首だって腫れてて、こすれると痛いんだぞ。」

「帰りは抱いてってやる。」

美少女を連れて歩くのは俺の夢の一つだった。コンビニでなく、少し遠出してスーパーへ行くことにした。通りを歩いているとソラは

「店がいろいろあるんだな。服が欲しくなってきた。」

「買ってやるよ。」

俺たちは安い服屋に入った。ソラは、嬉々として服を買い漁った。靴まで買い始めた。合計四万円。家賃とほぼ同じだ。しかし、俺には金を貯めてもどうせする事などない。ソラに金を遣うのは、余計な物を買い込むより、何だか楽しかった。

「帰りは負ぶってくれるんじゃなかったのか?」

「お前、普通に歩いてるじゃないか。早速、買った物着て。」

「どう見える?」

「ものすごく可愛いよ。帰ったらその格好からすぐ脱がせたい。」

「じゃ、まだ帰らない。飯、食ってこうよ。」

「金の遣い過ぎだ。まあ、いいけど。」

およそ三十男に似つかわしからぬ美少女は、俺を連れてラーメン屋に入った。

頼んだ激辛チャーシューメンを食べながら、ソラは

「帰ったら何する気だ?」

「別に何にも。ネットもお前がいれば要らないし。お前とセックスするくらいかな。お前こそ、子供なんだからしたい事ないのかよ。午後、なんか考えてるなら、付き合ってやるよ。」

「あたしは子供じゃない。今そうなってるだけだ。それに、悪魔にしたい事なんてあるわけ無いだろ。神じゃあるまいし、予定とか計画とかは上の奴らだけ。あたしらは命令がなければ、その場の欲求だけでいい。」

「動物と同じか。」

「うるさい。人間とか神とかはおかしい。特にお前らは、能力もないくせに先のことばっかり考えて心配してやがる。まあ、だから上の仕事が進むんだけど。この餃子、全部食っていいだろ?」

「いいよ。ライスも頼むか?」

「そんなには食えない。」

俺がずる休みをしているいま現在も、ラーメン屋の店員は働いている。ラーメン屋の仕事は楽しいのだろうかと俺はふと考えた。楽しそうには見えない。正社員ばかりではないだろう。正社員はきつく、パートは安定しない。つまりは生活のためだけの仕事か。

ただ、ラーメンはうまかった。それには感謝した。

「負ぶってやろうか。」

「いい。この靴が気に入った。」

「お前の仕事って何だっけ。」

「お前の誘惑。」

「楽しいか?」

「仕事が楽しいわけ無いだろ。あ、うちに着いたらスカート捲らせてやる。汚すなよ。」

「それも仕事?」

「ん? 何だろ。違うな。捲りたくないのか?」

「捲りたい。」

「強姦とかしてみろよ。ふふふ。そういう劇作ろうか。」

ソラはとても楽しそうに見えた。


嫌がられないスカート捲りは、予想に反して面白くなかった。そこで、俺たちはトランプに興じて夕方まで過ごした。よく二人だけで続いたものだ。

久しぶりに俺は夕食を作った。コンビニ食でないのは数日ぶりのことだった。ワインはいつも通りのビオディナミだ。

「子供は飲むな。」

「子供じゃないって言うのに。」

ソラは聞かずに飲み始めた。

「あのさ、今日もお前、あたしとやる気なの?」

「また三十三回やる。」

「頼むからフーゾク行ってくれよ。よくこんな体で興奮できるな。いくらおっぱい吸ったって、巨乳にはならないんだぞ。」

「その体が好きなんだよ。ロリコンなの。」

「あたし、お前がアダルトサイトばっかり観てるから、ずっと大人の形の魂で誘惑してたんだけどな。時間がかかる訳だ。」

「誘惑って何なんだ?」

「堕落させること。自力で何にもできないように弱らせることだ。」

「もう、なってるだろ。お前の仕事は成功したよ。」

「廃人にしないと認められないんだ。」

「お前とセックスするのがやめられなくて、じきに廃人だよ。お前の全部が好きだからな。もうこれ以上、誘惑しなくていいだろ。」

ソラは何故か赤くなった。ワインのせいではなかった。

「だから、それだと股もおっぱいも擦り切れるって。あたしが先に廃人になっちゃうよ。」

そこへゴキブリが現れた。今日は二匹である。

「友達、連れてきたぞ。今、食べ物やるからな。」

「上司の奴め。」

「殺したりするなよな。」

「そんなことしたら、あたしが殺される。」

手ずからものを食べさせるのが嬉しかった。ゴキブリにまつわる評判の一切が、俺にはどうでもよい事だった。掛け替えのない存在、ただそれだけだった。餌をやりながら

「神様って、なんで出てこないの? お前みたいにこうやって、セックスできる美少女になって来てくれる悪魔のほうが助けになるじゃないか。」

「悪魔に聞くなよ。こっちは、向こうに近寄れもしないんだ。」

「誰か俺を幸せにしてくれないかな。」

「幸せって、何?」

俺は、会社でも一人で食事がしたいほうだし、友達とも一緒に食事をする趣味はない。食事中に喋るのも好きではなかった。その割に、今よく喋っている自分に俺は驚いていた。

「心の満足。ゴキブリとお前といるときの感覚は幸せだな。一生お前の便器として堕落してやるよ。」

「実体化したこの体じゃ絶対無理だろ。便器に一生腰かけたままの奴なんかいるか!今日のセックスだって、あたしのが持つかどうか分からないぞ。」

「でも断らないんだな。セックス、仕事なのか?」

「断ったら、お前が困るだろ?」

話がおかしくなってきた。

「まあ、今日は我慢する。お前に早く治ってほしいからな。体のにおいだけは嗅がせてくれ。大好きなんだ。足も腋も頭も、もちろんあそこも。」

ソラは恥ずかしそうに目をそらすと、ワインを飲んだ。


朝の光の眩しさに俺は目を覚ました。ソラはもう起きて隣に座っていた。

「おはよう。夢精してたぞ。無理しやがって。残りはさっき抜いといた。射精したくなったら、あたしの口でさせてやる。お前は動かなくていい。て言うか、動くな。」

「おしっこ、飲ませてくれ。」

「今日は駄目。あたし、膀胱炎と膣炎と痔になりかかってるんだ。お前、舐めまくるから絶対悪化する。」

「パンツの上からでいい。頼むから嗅がせてくれ。」

「なんで? 精子はもう出ないはずだぞ。女、要らないじゃないか。早く起きようよ。腹減ってきた。」

「回復するのにも女の子のが欲しい。精子、出し過ぎて動けない。」

「え、そうなの?」

慌てた様子のソラは尻を俺の顔に乗せた。パンツを自分で下ろすと

「知らなかった。ほら、よく嗅げ! 小便もしてやるよ。ほかに何か要る?」

俺はソラの裸の腰を抱きしめ、腫れた溝に鼻面を押し込んだ。

その日は思い切り遠出した。電車を乗り継ぎ、他県の遊園地と動物園を訪れた。よく笑った一日だった。遊園地に行くのなど、子供の頃、親に連れていってもらって以来だ。現実にも喜びのあることを思い出した気分だった。

帰宅してからソラは

「ああ、面白かった。お前といると毎日退屈しないな。」

「いい加減、名前呼んでくれよ。」

「カイトだったっけ。」

「ありがと。あさってから仕事だ。気分が暗くなってきた。」

「まだ一日以上あるのに。汗かいたけど、嗅ぐか? しごいてやるから、気分変えろよ。」

「嗅ぐ。」

「ほら、横になって楽にしろ。」

ソラの肛門が俺の鼻を塞いだ。

「あ、すごいにおいだ。」

「汗かいたからな。嬉しいか。舐めるのは我慢しろ。あたしはカイトの舐めてやる。」

ズボンを下ろされた寒さを、ぬるりと温かさが包み込んだ。

「あたし、お前から、あ、カイトから離れられないんだから、仕事が済んだら毎日こうしてやるよ。楽しいことしよう。」

「堕落まっしぐらだ。廃人、決まったかな。俺が廃人になったら、ソラは戻れるんだろ?」

「上司次第だ。でも、もしカイトが廃人になって、あたしも元に戻れなかったら、あたしが露頭に迷うよな。これはカイトを元気にするため。あ、出そうだな。我慢するなよ。飲んでやるから男らしく思いっきり飛ばせ。」

ソラは俺に二回射精させたあと、こちらを向き、おしっこを俺の口に放ちながら

「今日はあたしがご飯作ってみる。パンツでも嗅いで待ってろ。先にワイン飲んでてもいいぞ。」

俺はだんだん仕事がどうでもよくなってきた。

二匹のゴキブリは、変わらず定刻に姿を見せた。


翌朝、鳥の声が騒がしい中、隣の枕元でソラが呟いた。

「決めた。あたしはカイトに寄生する。だからカイトもあたしに堂々と寄生しろ。」

「そんな関係、生き物に無いよ。共生のこと?」

「何でもいい。あたしはカイトのために生きる事にする。」

「悪魔は予定とか考えないんだろ。」

「考えたんだから誉めてくれてもいいじゃないか。カイトはあたしのために生きる気、ある?」

「あるよ。ソラがいてくれたら、幸せな感覚が毎日あるかもしれない。ゴキブリも大切にするぞ。」

ソラがいれば、そしてゴキブリがいれば、仕事にも耐えていけるかもしれない。そう思えてきた。例え仕事を辞めても、大切なものは残る。俺の心は落ち着いてきた。

「じゃあ、今晩は少しくらい無理して、激しくセックスしていいかな。と言うのは嘘だ。大事にするよ。」

「でも、カイトがそうしたいなら・・・」

その時、金色に輝く二匹のゴキブリが歩いてきた。そして真上に人影が現れた。金髪碧眼の美少女だった。真っ白いシュミーズのような服が輝いている。高貴に威厳のある子供だった。

ソラが驚愕して言った。

「局長! 何ですか、その格好?」

「この馬鹿者! 私たちは二人とも神の罠に嵌められたのだ。まさか人間の心の中から出てくるとは思わなかった。更にお前の中からもな! ゴキブリの心からも現れた時点で、私まで悪魔の資格を失った。悪いが、これから一緒に居させてもらう。その人間を守る義務が生じたのだ。お前と同様、胸の内から湧いた止むに止まれぬ義務感だ。」

金髪美少女が実体化した。二人の少女の体臭がたちまち部屋に広がった。興奮した俺は頭を持ち上げたが、ソラに上から押しつけられた。

「局長、カイトとセックスする気ですか?」

「そうだ。お前は霊界に戻って天使に挨拶してこい。」

「えっ!?」

ソラは忽然と消えた。だが、すぐまた現れた。

「戻れるんですね。でも、元に戻れても、あたし、こっちがいいです。」

「好きにしろ。私も好きにさせてもらおう。カイト、これから頼んだぞ。」

俺は思わず正座した。

「何を頼むので?」

金髪美少女は答えず裸になった。そして、俺を柔らかく押し倒すと、ゆっくり俺の顔へ跨った。

「三十三回、なんだな?」

ソラが

「局長、それは誕生日の話です。場所だって、顔にするんじゃありません。それと、今日はお花見に行くんです! 夜にしてください!」

「俺、あしたは仕事、休みたくないんだけど。」

神は沈黙していなかった。姿は結局見えないけれど、確かにどこかにいるらしい。

俺の人生観も生活も、三日で大幅に変わってしまった。元はと言えば全てゴキブリのお蔭だった。

出てきてくれてありがとう、ゴキブリ! 俺は局長の尻の下で歓喜に咽びながら、そう心の中で叫んでいた。


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