夜更かしの先、明るくて綺麗だった

悪夢を消すには喫煙が一番だ

と煙草を始めた彼が

今日も換気扇に餌をやらなきゃな

とそういって、お気に入りのライターで煙草に火をつけた


肺を煙にして吐くのが煙草だ

今日も彼の呼吸器と肺胞は

世界の一部に変わっていく


吸ってる途中で「もってて」と煙草を渡された

吸うことも出来ずに、煙草はどんどんと灰になっていく、世界になってゆく。


彼が戻ってきたときには

煙草はもう世界となり終えて

私が踏み消したあとの死骸しかなかった。

悪夢を殺す魔法のステッキも

結局最後は焼き焦げたただの吸殻だ


きっと

煙草が灰になっただけ


けれどなんだか興奮して

泣きながら笑ってやった


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