濡れた傘

なんとも気が きくものです

私に傘を渡すなんて

一人で濡れて 帰れたら

誰かに見つけてもらえるのに


なんとも気が きくものです

私に傘を渡すなんて

涙を隠してほしいのに

隠す雨が 当たらない


気のきくあなたには

濡れる私は悲しく見えたのでしょうか

気のきくあなたには

あれが優しさのつもりだったのでしょうか

しかし傘を渡されても

私が独りに 変わりはない


なんとも気が きくものです

私に傘を渡したのだから


けれど

あなたよ

それなら私は

あなたの傘へ

入れてほしい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る