第12話
謁見室から、先生とリリアちゃんと一緒に下がりました。リリアちゃんは、喜びと興奮を隠しきれず、踊りださんばかりです。お城を出るまで、控えましょうね。
馬車に向かって歩いていると、後ろから、急ぎ足で追ってくる男性がいます。
「スタイヴァサント夫人!」
何やらお話がありそうです。キリッとした、背の高い黒髪の男性です。早速リリアちゃんにご興味がおありなのかしら?
リリアちゃんと先生にも黙礼をした後、私に声を掛けられました。うーん、白髪がちらほらあるわね。リリアちゃんには、ちょっとお年を召しすぎてるかしら
「スタイヴァサント夫人。私、オリヴァー・デュラントと申します。一言申し上げたくて、お呼び止めしてしまいました。全く以てお見事でした。」
ああ、あの冊子を見て声を上げていらっしゃった方です。(カメラアイ始動)
「司法を預かるものとして、言わせていただければ、捜査、誘導尋問、まとめ方など、どれも一級でした。なにより、理論立てた弁論がすばらしかった。いったいあのようなテクニックをどこで身につけられたのですか?」
いえ、監査会計士として、社長、会長、重役団と丁々発止やりあってまいりましたので・・・とは言えないので、
「主人が、財政を専門にやっておりましたので、私も帳簿などを手伝いましたの。(リリアちゃん、そんなに驚かないでよ)その時主人から色々指導してもらいましたの。でもいかんせん門前の小僧ですわ。にも関わらず、お褒めいただき恐れいります。」
そう、答えると、首をかすかに傾げながらも、デュラント司法長官、確か伯爵だったか、が続けます。
「そうですか。私もスタイヴァサント侯爵に教えていただく機会が有ったらと、残念に思います。もしお差し支えなければ、 どのようなご指導であったか、奥方様にお聞きしてもよろしいでしょうか。」
「まあ、私では大したことはできないとは思いますが。よろしければ、お時間のある時にでも宅の方においでくださいませ。」
「ありがとうございます。近日中にお伺いさせていただければ光栄です。」
にっこり微笑まれたその笑顔はなかなかのものです。
デュラント伯爵と別れた私たちは、馬車に乗り込んで、ようやく思いっきり喜びの声をあげることができました。
「「「きゃー!」」」
「リリア、先生、右手を挙げて。手のひらをこちらにむけて。」
私も両手で二人の翳された手を思いっきり叩きます。
ぱっちーん!
「「「High Five!」」」
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