5 持続可能性を実現する技術

図:https://19084.mitemin.net/i414249/


4つの政策における課題として、

3つの持続可能性を実現しなければなりません。


しかし、ある技術水準の文明段階において採用できる政策には限界があり、

その限界を越えるため、新たな技術の開発・普及も重要になります。


昔、高校の先生がおっしゃいましたが、

古代社会では民主政といっても、多数の奴隷に依存せざるを得ませんでした。

農業時代に工業時代の豊かな生活や、

工業時代に情報時代の便利な生活をすることはできませんでした。


しかし現在では、人工知能など、文明の持続可能性の実現を可能とする、

新たな画期的技術が開発されつつあります。


それらの次世代技術は、①人工知能(AI)を中心として、

②生物など自然物と、機械など人工物の垣根を取り除き、

いわばいとこ取りで両者の持続可能性を高める、

③(体内環境を含めた)自然環境や社会環境に優しい、

持続可能性(環境親和)技術ともいうべき技術です。


具体的には、人工知能の導入によって可能となり、あるいは飛躍的に発達する、

IoTとビッグデータ処理、知能ロボット、生物工学バイオテクノロジー生体工学バイオニクス

新素材や新エネルギー、先進医療・教育などの技術だと思います。


技術と政策は相互支援の関係にあるので、

技術の健全な開発・普及や利用を助ける技術的政策が、

他の政策とも連携しながら、これらの新技術を助ければ、

新技術もまた、各種政策の実現を助けてくれると考えます。


ではなぜ、人工知能が中心となるのでしょうか?

それは人工知能が、従来は人間にしかできなかった仕事(問題解決)のために、

変化する膨大な情報(入力)の中から一般的な法則性を発見・判断し、

それを迅速的確に活動(出力)に活かすことが、できるからだと思います。


知的生命活動の過程プロセスとは、

試行錯誤と学習によって、様々な物事の間にある一般的な因果関係を発見し、

それをもとに自己の活動を制御して、原因となる物事に働きかけることで、

自己や種族の保存に好ましい結果をもたらすことだからです。


これまでの電算組織コンピュータシステムに対する演算指示プログラムでは、

『ああいう時はああする、こういう時は、こうする』ということを、

一々教えておかなければいけませんでした。

一方、人工知能という自己改良型の認識・制御演算指示プログラムは、

ああでもこうでもない時にも、所定の目的を達成するにはどうすればよいかを、

自ら〝学んで〟いきます。

様々な情報を元に、自ら法則性の発見や適用といった高度な認識を行い、

それに基づいて活動を変化させていくことができるのです。


しかも、電算組織コンピュータネットワークの演算・記録・通信能力は高いので、

その学習能力は人間よりも桁違けたちがいに大量高速であり、

同様の事例があれば忘れることなく迅速的確に法則を適用し、

学習内容を他の電子頭脳に広めることも簡単確実です。


小規模電力を集めて広い地域の需要をまかなうには、どう分配したらいいか?

一定の機能を持つ物質を見つけて作り出すには、どうしたらいいか?

事故や渋滞を防ぐため、どう運転や交通を制御したらいいか?

ある内容を他の言語で伝えるには、どう翻訳・表現したらいいか?

人々の生活を幸せにするため、どんな助言をしたらいいか?

人間同様の仕事ができるよう、どうロボットを作り、動かしたらいいか?

顧客の需要を満たし収益を増すには、どんな商品をどう提供したらいいか?

難病を治すために、どんな新薬製造や遺伝子治療を行えばいいか?

様々な子供達全てに教育を提供するため、どんな個別的配慮を行えばいいか?

国民の満足を高め行政費用コストを下げるには、どうしたらいいか?

……それらに必要な法則性を発見し、情報提供や機械操作につなげるのです。


あくまでもその最終目的は人間が決定し、

結果も人間の不利益にならぬよう管理することを前提に、

従来は人間にしかできなかった仕事(問題解決)を

より良く可能にしていけるのが、人工知能技術の画期的な点であると思います。


農耕技術は体外物質の利用により、文明を成立させました。

工業技術は体外動力エネルギーの利用により、文明活動を世界規模に拡大しました。

情報技術は体外情報の利用(演算・記録・通信)により文明活動を効率化し、

地球という環境的限界への到達による衝撃を緩和しました。


それらに続き、上記のような機能を得た人工知能(AI)は、

新たな知性の創造により、文明活動を環境親和化し、

地球上における持続可能性を実現する、

次世代の主力技術と言えるのではないかと思います。

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