普通の俺と双子の君たち!
清水 優杏
第1話 転校生の双子
4月7日。
桜の木が並ぶ真っ直ぐな大通りを歩く。
1年前はこの道を、真新しい気持ちで歩いていたが今はそんな気持ちが微塵もない。
高校2年生になってもこの日常は変わらない、そう思ってた。
でも、この日から、俺の灰色な高校生活は薔薇色へと変わっていった。
❀✲❀✲❀✲❀✲
俺はこの4月、高校2年生になった戸塚海斗。
今日は新学期、最初の日。
始業式が終わり、慣れない2‐1の教室に入った。
担任は去年と変わらず松葉健人(まつばけんと)先生。俺の学年では一番人気の先生で、教科は現代文の担当だ。見た目も爽やかで24歳とこの学校では若めの先生。
俺も、1年の時と同じ担任ということもあり、松葉先生が担任ということがうれしかった。
「よし、全員揃ったところで今から転校生を紹介する。」
そう松葉先生が言うと、教室全体がざわざわし始めた。4月だし、そんな時期か。変なやつじゃないといいけど。俺は興味があまり無かったので窓の外を見ていた。
すると、先生が教室の外にいる人に向かって、入っていいぞという。
ガラガラ、と教室の扉が開く。するとさらに教室がうるさくなった。
なんだよ、と思って前を向くとそこには
タイプは全く違うが、顔が整っている2人の女生徒がいた。
先生がその2人の紹介をしているらしいが、女生徒の方に意識が行っていて、耳に入ってこない。それくらいその2人は可愛かった。
周りの人に聞くと
左にいる、少し日に焼けいて、スカートが少し短めの女子が、七星楓(ななほしかえで)、
右にいる、透き通るような白い肌で、ストレートなロングヘアーの女子が七星夜空(ななほしよぞら)、
だと言っていた。
見た目が反対の2人は"双子"らしい。
2人とも同じクラスにだということに、俺は不思議に思ったが、転校してきたばかりで色々な不安があるだろうということで同じクラスになったと松葉先生は言っていた。
驚くことに、空いている俺の横の席が七星夜空で、俺の後ろの席が七星楓らしい。
こんな可愛い双子が周りにいたら集中出来ねぇよ…。そう思いつつ、俺はにやけが止まらず、親友で同じクラスになった小野寺智貴(おのでらともき)に「にやけてるけど大丈夫か?」と笑われてしまった。
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今日は初日のため早帰り。
運動部ですぐに部活に行くやつもいれば、俺みたいに帰宅部ですぐ帰るやつもいる。
明日は早速、春休みの課題テストがある。
1年生の範囲のテストだからといって気を抜けない。2年生の最初のテストで、成績にも入るからだ。ここで気を抜いてしまえば、この1年間だらだらと過ごすことになる。
俺は別に成績がいい方でもないが悪い方でもない。
クラスは40人でそのうちの15位くらい。だから今回は10位以内を目指している。
そう言えば、転校生の七星さん達はどれくらいの頭の良さなんだろうか。
楓の方はともかく、夜空の方は頭が良さそう。
場合によっては目標に届かないかも…。
弱気になってしまった俺は頬をばしっと叩いて気合を入れ直した。
やる前に弱気になってしまえば、その通りの結果になってしまう。強気で行こう。
俺は心にそう決め、すぐに帰った。智貴はバスケ部のため一緒には帰れなかった。
教室をでた時、誰かからの目線を感じたが、俺はスルーした。
なぜか、めんどくさくなる気がした。
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