仕分け作業

@saruno

仕分け作業

「この人のは上」「この人は下」「この人は差戻しっと…」


彼の仕事は仕分け作業であった。方々から送られてくる集荷物を指定された場所へ送る重要な仕事だが、彼にはそれが苦痛で仕方なかった。

「まだ五分しか経ってないなんて信じられない」

彼にはもう1時間も経過しているようにさえ感じていた。終業まであと7時間。彼には十分な休憩が与えられていなかった。


産業技術が発達し、世の中全ての単純作業がオートメーション化された現代でもなお、手作業によるチェック作業は重要であるとして、一定数はこのような仕事が残されている。

どうも私の職場は古き良きを大切にするそうで、完全手作業のままだ。この上めんどくさく、退屈な仕事。まるで自分がロボットにでもなったかのようで、彼は嫌で嫌でたまらなかった。それでも続いているのは、他に仕事のあてがないからである。

「仕事があるだけ贅沢かもしれないなぁ」


やっと短い休憩時間になり、彼は休憩室で同僚にその苦しさを打ち明けた。

「全く…こんなことなら地獄の方がマシだよ」

神様ともなれば実に説得力があるものだ。

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