騎士団なんて儲からない!傭兵になったけど苦労するし恋愛もしたい!

もかめ

第一章 「騎士団引退、新たな転職」

第1話 初めての戦地



 「暇だ……ここは木しかねぇー」


悪態を付く彼は


「オネスト」


彼は以前、王国の騎士団に所属していたエリートだったが名声あっても金が安い!

それに嫌気がさして、傭兵に転職した。


今は帝国で傭兵として日夜お金の為に働いている。


ちなみに容姿は銀髪、童顔の低身長である。

見た目は……幼いが比較的整っている顔立ちだ。


「に……してもほんと暇……」


現在彼は、帝国と王国の国境にてパトロール中だ。


「おい、お前怠けるなよ」


「分かってるって!」


話しかけて来た女性は帝国の兵士だ。


「だからお前ら傭兵は……」


「……(あぁ〜辞めてぇ〜こんな事なら騎士団続けてた方が良かったかも…でも金の為、金の為…)」


顔には出ていないが、心の中でははらわたが煮えくり返っている。


傭兵と自国の兵士は仲が悪い。


金の為の「傭兵」


国の為の「兵士」


仲が悪くなるのは自然な事だろう。


ここで1人の兵士が走って来た。


「おい!敵襲だ!」


「なに!相手は!?」


「王国の偵察部隊!」


「分かった!今行く!(丁度暇だったし行くか)」


どうやら国境を越えて王国の偵察部隊がやって来た様だ。

味方の兵士に案内されるまま森を抜けて向かう。


目的地に辿り着くと報告にあった偵察部隊では無かった。


そこに居たのは4人の山賊だった。

全員フードを被っていた為に見間違えたのだ。


揃っていない装備を見て、明らかに国に所属する兵士ではない。



「し、しまった!!」


「ま、待て!」


オネストは仲間の兵士と共に追い掛けたが、相手達はかなり足が早い。


必死に追い掛けていると、山賊の中の一人が転んだ。

足元に落ちていた枝につまずいた様だ。


「捕まえたぞ!」


そう言って馬乗りになる。

「早く縄を!」


そう言って振り向くと、仲間の兵士が居ない。

追い掛けている間に、はぐれた様だ。


「仕方がない!ここは俺一人でやるしか無いな(一人で連行すると俺の手柄にもなるし、何より報酬アップ!)」


ここで彼は馬乗りになっている山賊のフードを捲った。


「!?」


「……」


女性だ…それも今彼は馬乗りになって確保の為とは言え、胸に手を置いている。


「あの…捕まえるならそろそろ胸から手を離して貰えない?」


「あぁ!すみません!!」


彼はそう言うと手を急いで離し、自分の持っていた縄を取り出す。

彼は冷静を装ってはいるが内心、今まで関わりすら持ったことのない女性と

接触してしまった為に頭の中はパニックだ。


「…(さ、触ってしまった…!しかも女性の…!でも思っていたのと違う気が・・・)」


「あなたもしかして私の事「全然感触無かった」とか思ってない?」


「ええ!?そんな事思ってもいませんよ!?えぇ、神に誓って!全然大丈夫でした!」


彼は図星を突かれた質問にあまりにもおかしな回答をしてしまった。

「なに?『全然大丈夫でした』とか?張り倒すわよ?」


「すみません…(俺はどうして謝っているんだろう…)」


そう思いつつ彼は縄をかけると、最寄りの見張り小屋に連れて行った。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る