第12話 光さす

俺は以前は庭職だった。


半纏 腹掛け 乗馬ズボンに脚絆を締めてきねやの無敵地下足袋


岡恒の植木ばさみ一丁ぶら下げて

梯子を担いで歩いてた


大都会、東京の庭園

はたまたビルの隙間にひっそりと生える欅の剪定

広い公園の管理


ただ、無心に金のために始めは働いてた


そのうち仕事が楽しくなり


自分なりに頑張った。


母が死に、あの子の母も死に


インドに行った


インドで出会ったあの子の母も死んでいて


タイで出会ったあの子の父も死んでいた


日本に戻ってから、庭職を続ける傍ら、メッセンジャーもやったりもした。

俗に言う自転車便だ


インド旅行で、精神の改革がおこった


以後、ありえないほどの神秘な体験(凡夫な俺には神秘だった)

はたまた、残酷な鬼の責め苦を受けて


現在は、作業所というところでイラストを描かせてもらっている。


1日、1枚或いは3枚

納得のいく出来のものを描かねばならないと、思いながら、何もせずにドレッドになった髪の毛を、1日解いている日もある。


作業所に向かうのは週2回

来月から週3回


もっと必死になろう


楽しいとか、責任とか義務とかじゃなくて

元カノがいってた、自分のためというやつだ。


作業所に行かないオフの日は

1日30分くらいだが、ジャンベを叩いてる


いつか、開花することを信じて

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