『気象予報士さまは、なぜ助詞を抜かして話すのか?』

やましん(テンパー)

『気象予報士さまは、なぜ助詞を抜かして話すのか?』

* これは、まったくのフィクションであり、現実のあらゆる事実とは、無関係であります。ただし、自然現象を、いまだ人間がコントロールできないことだけは、どうしようもない事実であります。これ以上、無常な自然災害が起こらないように、深く祈ります。


 

  **********  ☔  ********** 



 最近、テレビやラジオに気象予報士さまがしばしば登場します。


 『あすは、午後から寒くなるでしょう。どうぞ服装、お気をつけください。その後大気、不安定になり、急な落雷、あるかもしれません。』


 「あ、また、助詞、省略してるっす。」


 カップ・ラーメンをすすりながら、大雨太朗が言ったのです。


 「あんたもだろ?」


 小雨一郎が指摘しました。


 「ここは、雑談の会場っす。あれは、公の場面だからな。正しくしゃべらなくては。」


 「流行なんじゃなあい?」


 晴天良子が、割って入りました。


 「人気のある予報士さんを、まねてるんじゃないかしら。」


 「ありうるね。人気が出たら、みんな、まねしたがる。それに、予報士さんは、話しのプロじゃあないから、ある程度、自由が利くんじゃないのかな?」


 これは、小雨一郎。


 「そうだなあ。たしかに、まあ、一定のリズム感を作り出すことに成功しているのは、事実だけどね。でも、なんか、気になるんだなあ。なんか変なんすよ。あの、話し方。」


 「よくわかれば、いいんじゃないの? 結局は。あれは、個性というものよ。最近は、すごく、そういうのが、大切みたいでしょう?」


 「そういうふうに、総括されるのも、嫌いだなあ。ぼくは。個人の意見というものは、違ってあたりまえです。なんでもかんでも、まとめりゃあ、いいってもんでもないっす。うん、あ、このカップ麺、うまいすよ。晴天先輩。」


 「あなた、もう社会人なんだから、その『なんとかっすよ~』は、卒業なさったらいかが? この社会においても、だれかがまとめなきゃあ、きちんと、ものごとが進まないわ。もう、めちゃくちゃになるでしょう?」


 「まあ、そうっす、けどね。今は、業務時間外っす。職場関係なし。」


 「あららあ、この仲間内は良いけど、偉い先輩方がいるところでは、そんなこと、言ったら、嫌われるわよ。」


 「いいっす。出世する意思はないですから。」


 「ふうん。いやあ、そういうやつに限って、出世し始めたら、からっと、態度が変わるんだ。」


 「がらっと、でしょう?」


 「いいや、『からっと』さ。昔のことは、あっさりと、からっと、油で揚げたように忘れてね。こうしてラーメン食ったこととかも。いろいろと、世話になったこともね。」


 「まあ、あたしは、出世できない。女子職員は、天井があるって、言われた。」

 

 「そりゃあ、あからさまに、差別でしょう。先輩が、どぎゃっと、変えたらいいっすよ。応援しますよ、辞めて無ければね。ボスになってくださいよ。」


 「まあな、おれも、続かないかもな。なんだか、いささか、このところ、体調良くないしさ。勤務替えするかもなあ。下手に昇進したら、責任、大きくなりすぎるんだ。ボスは、ああいう調子で、独裁的だし。」


 「まあ、大丈夫? もし、本当に体調良くないなら、早く手を打って、きちんと、解決すべきよ。」


 「へいへい。あんたは偉い。偉くなるよ、きっとね。」


 「もう、からかうんだからあ!」



    ⛅   ⛅   ⛅   ⛅   ⛅


  

 ここは、雲の上、『お天気担当神様』、幹部候補生さんたちの、『研修寮』で、あります。


 人間の運命は、いまでも、彼らが大方、握っているのです。


 




   ************ ⛈ ⛄ 🌀 ************


 ※危なくなったら、やましんも、逃げることにします。何処に逃げるかが、問題。避難所は、目の前に、見えてる。いえが沈めば、避難所も沈むかも…………でも、たぶん、頑丈。



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『気象予報士さまは、なぜ助詞を抜かして話すのか?』 やましん(テンパー) @yamashin-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る