第1話 一年前期

 入学式が終わり、教室に向かうときに少しだけため息をつく。

 紺のブレザーに紺のチェックのスカートにネクタイをして、指定のスクールバッグを持ち、教室の方に向かったのだ。

 卒業した中学には同じ高校に通う子はいなかった。

 第二志望はこの辺のなかでは偏差値が低いし、わたしの卒業した中学校でも入学したのは三年前以来だという。

 でも、ダンス部と吹奏楽部が全国大会に出場したりしている。

「ねぇ、どこ中?」

「え?」

 わたしは少しだけ戸惑ったけど、中学の名前を言った。

「え? 近所だよ!」

 わたしは少しだけ、楽しくなるかもしれなかった。









 入学して半月が経ち、だんだんとクラスや学校のことがわかってきた。

 男子がいないせいか、みんなの話すことが趣味とかバイトとかの話だったり。

 しばらくすれば先生の愚痴だの、部活の愚痴を話している。

「それでさ~、部活の先輩がウザイ、退部したい」

「え~……わたしはまだ、辞めるつもりはないよ? 漫研と文芸部、兼部してるけど、どっちかつらくなったら、二年生になったときに考えるし」

 隣の席で寝ていたのは、湯浅ゆあさ早百合さゆり。バスケ部に所属してて、全然練習が緩くて嫌すぎるんだと。

 あと、入学式に声をかけてくれた子だ。

「あれ~、雪乃。部誌のイラスト、決めたの?」

「あ~、部誌ね。描いて、先輩に渡したよ?」

 同じクラスの田ノたのうえ真輝まき西原にしはら真琴まことの二人が漫研の友だち、あと文芸部の友だちは篠原しのはら理々愛りりあ真野まの早悠良さゆらの二人。

 そして今日は文芸部のある日で、わたしは歩いて外にいく。

 文芸部の活動はだいたい部誌制作と、夏休みの校外学習、文化祭の展示ぐらいでその他は緩い部活。









 文化祭の近くなると、漫研に行きたくなくなって来た~。

 かなりブラックだよ? だって、文化祭一週間前から毎日あるし、漫研の仕事は引き受けたけどさ。

 絶対に二年生になったら、継続届出すもんか! と決心した。

 文化祭が終われば、文芸部はだいたい春号のテーマ決めをすれば、二週間に一回のペースで部活をしていた。

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