元気を出して

勝利だギューちゃん

第1話

『やあ、久しぶりだね。元気してた?』

久しぶりに、この少女に会った。


『冴えない顔して、見てられない。』

「悪かったな。生まれつきだ」

『顔自体の事じゃないよ。表情の事言ってるの』

「何が言いたい?」

『もしかして、また振られた?100回目か・・・凄いね」

いちいち嫌味な女だ。


「そんなしょっちゅう振られるか!」

『違うんだ。珍しい』

「で、何のようだ?」

『ご機嫌伺い』

「暇人」

『君もだよ』

こういうのを、腐れ縁というのか?


「で、本当の要件はなんなんだ?」

『あっ、そうそう忘れてた・・・』

「手短に頼む」

『うん、私も忙しいから、手短にするね』

「どのくらいだ?」

『30分』

「長い!」


もたもたしている。


「まだか・・・」

『もうちょっと・・・あっ、あった。はい』

「これは?」

『私から、君への返事』

「このCDがか?」

『うん、君のために作詞作曲したんだから、聴いてね』

「唄は?」

『私、じゃあ、また来るね』


少女は去って行った。


【元気を出して


嫌な事ばかりじゃない。

前向きにがんばってたら、

きっと、いいことだって、たくさんあるよ


世の中、まだまだ捨てたもんじゃないそ


そういう時は、もう考えるより、行動

忘れ物をしたのなら、途中で買えばいい


苦しい事があっても、辛い事があっても、乗り越えられる

君はもう、ひとりじゃない

私がずっと、そばで支えるから


向こうに虹が見える。

その虹の世界には、素敵な物が待っている


ふたりで描こう、素敵な虹を

ずっと一緒だよ


心が温かくなった・・・


『ごめん、間違えた。そっちは、まだ未完成。

完成品はこっち』

「未完成・・・もう、訊いたけど・・・」

『えっ?じゃあこっちの完成品は?』

「必要ないよ」

『じゃあ、返事は?』


【歌おう


これから先、落ち込む事もある。

そんな時は、俺と飲みあかそう。


サシで飲み明かそう。


何でもいい。


俺は言葉にするのが苦手だ。

でも、そばにいることはできる。


歌おう一緒に

未来への歌を


きっと、引き寄せられる】


俺は、照れくさい。


『これ、いつ書いたの?』

「今」

『ふうん、文才ないね』

「悪かったな」

『でも・・・嬉しいよ、君の気持ち』

泣く程のものでもないが・・・


こうして、生涯のパートナーとなった。

ごく普通に恋をし、ごく普通に結婚して、ごく普通に子供が生まれて

幸せに暮らしている。


運命の人って、意外とそばにいるかもな・・・

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元気を出して 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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