異世界ITパスポート
へるきち
far beyond the sun
「今、地球が爆ぜたら、どうすればいいんだろう?」
などと、朝から物騒な、というか間の抜けた事を考えながら、駅の改札を抜け職場へ向けて歩き出す。
毎日同じ道を通勤しているので、考え事をしながらでも、ほぼ自動的に体は職場へ向かう。
仮に、今この瞬間に地球が爆ぜてしまったとして。
認識が出来るのだろうか?
「あ、地球が爆ぜた」
なんて。
「あ、地震だ」
みたいな感じで。
認識できたとして、どうすればいいんだ?
どう考えても、完全に詰んでる。巨大過ぎる災厄を相手に抗う術など何も無いだろう。
異世界に転移出来る能力でもあれば助かるか?
しかし。
異世界に行ったところで、暮らしていけるのだろうか?
まず、言葉が通じないだろう。
生活習慣も、文化も文明の進化度合いも、価値観も何もかも違うかも知れない。
似たような部分もあるのだろうけど。
仕事は何が出来るだろう?
この世界では、IT系のエンジニアとして働いているけど。
異世界にITがあるのか…??
ITの無い世界で、俺は一体どうやって生活費を稼げばよいの?
他に何か職業に出来そうな技術を持っているだろうか?
…。うーん…。
車の運転? …異世界に車があるのか?
そろばん…? …もう忘れてないか?
字は汚いし、楽器も弾けないし…。
…もしかして、…皿洗いくらいしかできないのでは…?
などと、暗い事を考えていたせいで、視線が下を向いていたようだ。
視界いっぱいに埃っぽいアスファルトの地面が見える。
いかん。
せめて、気分だけでも上向きに、と視線を上に向けると。
なんだか空が赤い?
いや?黒い?ような?虹色の光が彼方から迫ってくるような?
あ。
地球が爆ぜた。
異世界ITパスポート へるきち @helkitty
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。異世界ITパスポートの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます