Places to be......
床町宇梨穂
Places to be......
久しぶりに入った部屋。
特別変わった事は何も無い。
相変わらず、観葉植物がたくさんあるし、CDはケースから出されたままだ。
あえて違うところを探せば、伏せてあった写真立てが元に戻っているぐらいだ。
少し前まではとても居心地の悪い部屋だったけれど、彼女に何の感情も無ければ、なかなかいい部屋だ。
彼女に荷物を返して、彼女からカギを受け取る・・・。
女の子にカギを返してもらうのはこれで四回目だ。
どれもいい思い出ではなかった。
カギを彼女に渡した時の事はいい思い出なのに返してもらう時はいい思い出にはならない。
彼女がこのカギを使って僕の部屋に来る事はもう二度と無い。
僕もこの部屋に来る事は二度と無い。
これが僕達の最後の瞬間なのかもしれない。
何かを始めるのはとても簡単だけれど、清算するのは少しだけ難しい。
彼女の部屋を出る時、振り返ってなにか思い出になるものを目に焼き付けようとしたけれど、なにも見つからなかった。
この部屋は僕の思い出にはならないのかもしれない・・・。
Places to be...... 床町宇梨穂 @tokomachiuriho
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます