囚われ姫と星屑魔王
こふる/すずきこふる
囚われ姫と星屑魔王
むかしのお話
昔々、小さな魔法使いがいました。
草木や動物の声を聞き、蓄えた知恵を使って人々の願いを聞き入れていました。まるで流れ星のように人々の希望を与えていった魔法使いは、流星の魔法使いと呼ばれるようになりました。
国のお姫様が十一歳を迎える日、流星の魔法使いはその祝いの席に招かれました。
王様は、流星の魔法使いに言いました。
「お前は師をも超える優秀な魔法使いと聞いた。お前の星詠みで娘の星を読んで欲しい」
しかし、流星の魔法使いは首を横に振ったのです。王様がどんなに褒美を与えようとしても、決して首を縦に振りませんでした。
星を読まない魔法使いに腹を立てた王様は、あろうことか魔法使いを酷く罵ったのでした。
「星を詠まないお前がなんの役に立つ⁉ この星屑め!」
王様は魔法使いに酒を浴びせかけ、それを非難する者はいませんでした。それどころか、周りはそんな彼を見て笑っていたのでした。
華やかな祝いの席で星屑と笑い者にされた魔法使い。彼は王様に向かって、立てた親指を下に向けました。
「テメェの栄華はあと五年だ! それまでわずかな露でも啜ってるんだな! このハゲ!」
魔法使いは罵詈雑言吐き捨てて、国を出て行ってしまったのでした。
王様は「役に立たない星屑の言葉をなど聞くものか」と流星の魔法使いが言ったことを全く気にしませんでした。なぜなら、国が衰退する様子が全くなかったのです。
それから四年の月日が経ちました。人々に希望を与えた流星は、災厄を背負った箒星として戻ってきたのでした。
(囚われ姫と星屑魔王より)
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