夏に咲くスノードロップ
ぎる市長
プロローグ
誓ったんだ。君と甲子園へ行くと―――――――。
4月8日の入学式の日に、ここ
1人の野球好きな少女によって青春が走りだそうとしていた。「野球部がないのなら野球部を作ればいいじゃん☆てへぺろん」と言い出しそうな青春を。赤毛のアホ毛とポニーテールを風になびかせた少女は正門前で仁王立ちして、青春のスタートを今か今かと待ち続けていた。
入学式前に自前のユニフォームを着てくる生粋の野球女子。グローブとボールとバットを携えてキラキラした目でとある男子生徒を待った。同じ新入生になる男子生徒を、、、正門を通り過ぎる新入生や在学生、父兄達の稀有な視線などスルーして彼を待ち続けた。入学式開始15分前だろうが知ったこっちゃないと言わんばかりに。元より制服じゃなくユニフォームで登校してしまった時点で着替えることすら叶わないのだ。彼が到着して目的を果たしたらユニフォーム姿のまま入学式に参加する予定なのだから、それでいいと。
桜が風に吹かれ舞い散る中、来た。
彼だ。お目当ての彼だ。目的であり憧れであり目標にしてきた意中の彼がやって来た。欠伸して不機嫌で眠たそうにしている彼がついに来た。
少女漫画に出てくる主人公のようなチャラい金髪ヤンキー君。少女漫画の主人公を実写化映画化で再現したかのような彼。耳にピアスして悪ぶってて高身長。目つきが悪く、でも女子ウケしそうな彼。その証拠に女子生徒はこぞって彼を盗み見して色めきあっていた。女子高から共学に変わって間もない天文白金は男子生徒の数がまだ少ないこともあり、競争率は高めである。
しかし、悲しいかな、彼がシスコンだということはリーク済みである。
「この時を待っていたよ、
何も知らない方が幸せな場合もある。
本当に、その方が彼女たちのためでもあり、別の青春を謳歌した方がいい。そうしてくれと赤毛少女は切実に願う。怪物と呼ばれる彼と関わりさえしなければいいのだ、、、そうすれば、もう1人の怪物に噛みつかれることはない。
「私は君と甲子園へ行きたい。だから、一打席勝負しよっ!」
さあ、青春の一ページ目がスタートする。
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