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zizi

第1話

 雪――。そして、また雪。


 陽が射すのを忘れたかのような暗く重い空が恨めしい。

 母が寝る八帖の部屋には煌々と燈る石油ストーブの焔の上で、薬缶が微かな声で泣き続けている。


 あの燃え盛る夏が翳をひそめて以来、めっきり母の口数が少なくなった。

 それがあって、このところ手早く家事を済ませて枕元に腰を降ろす回数が多くなっている。


 そっと母の顔を覗く。母はまるで息をするのを忘れたかのように眠りこけている。まるで幼子のように。


 あとどれくらい――考えることが不謹慎とわかっているものの、日々の変化が自然とそうさせる。

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