『円盤蹴り オン!』

やましん(テンパー)

『円盤蹴り オン!』

 * これは、空想の、おとぎ話であります。既存のどのような人物・作品・事象もまったく関係ございません。また、科学的な考慮は一切為されておりません。


  

      ☆   ☆   🌠  ☆  ☆  



 『円盤蹴り』が競技としてさかんになったのは、ここ15年ほどのことである。


 『円盤』は、重量が約1トンある。


 これを、足でけりながら、ゴールに蹴り入れる。

 

 それだけである。


 ただし、『円盤』が地面に落ちたら、あいて側の『円盤』となる。



 まあ、もちろん、旧人類には、不可能である。


 この競技を行うのは、宇宙空間でも、深海でも、原子力発電所内の危険な場所でも、自由自在に活動ができる、『ハイパー超人間』である。


 一定のエネルギーさえ供給されれば、彼らはどのような過酷な環境でも、活動が可能なのである。


 しかし、彼らは、ロボットではない。


 アンドロイド、という訳でもない。


 新しい種の人類であると、考えた方がより正しい。


 ただし、さすがに、『太陽』の中では、まだ活動が出来ない。


 これは、目下、研究段階であるが、30年以内に可能になると考えられている。


 そうなれば、人類が直接『太陽』や、また『木星』や『土星』の中に入って、調査を行うことが可能となる。


 で、この『円盤蹴り』は、彼らの訓練の為に開発された、トレーニング・ゲームだったのだ。


 しかし、一般の人気が高まり、ついに、プロ・リーグが誕生した。


 ワールド・カップも誕生したのである。


 そこからは、地球的な、スーパー・スターも誕生してきた。


 タスキン・ワンは、その中でも、ひときわ抜きんでた選手である。


 彼の、『蹴る力』というものは、ほとんど限りがないモノであった。


 既存の計測器では、まったく計測が出来ないほどだったのだ。


 彼は、気前の良い、好人物で、貧しい人々の支援や、困難に陥った人々の救済事業にも、常に活躍していた。


 ただ、いくらか高慢で、負けず嫌いで、いわゆる自惚れが強かったが、これはスポーツマンには、しばしばみられることである。



              🌏



 ある、休日、彼は自分の実力を試してみたくなった。


 そこで、自家用宇宙船で、小惑星帯まで遊びに行き、そこで、適当な小惑星を一個、思いっきり蹴っ飛ばしたのである。


 もちろん、なにもない方向に向けて、蹴ったつもりだった。


 ああ、しかし、運命のいたずらは、いつも過酷なものである。


 ちょっとだけ、コントロールにミスが生じた。


 彼の蹴りで動き出した小惑星は、別の小惑星にぶつかった。


 そうして、玉突き現象が起こったのである。


 まずありえないような、非常にまれな、特異な『現象』が起こった。


 彼は、思わぬ結果にびっくりし、なんとか止めようとしたのだが、数が多くなりすぎて、結局のところ、相当に大きい小惑星が二個、小さいのが多数、なんと地球に向かって飛んでいったのである。


 ついでに、彼の宇宙船は、小惑星にぶつかって、壊れてしまった。



       🌞      🌞       🌞


 


 他の選手たちや、多くの人類の、必死の抵抗もむなしく、なぜか、地球は、ばらばらになり、壊滅する結果となった。


 

 人類は、ひとりのスーパー・スターの前に、敗れ去ったのだった。


 




   ************  ⚽  🌎  ************



                           おしまい


 

 


 



























 

  


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『円盤蹴り オン!』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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