第20話 日常
由奈さんの現旦那の離婚の件もひと段落した。
そして、あの日、松塚親子が俺の所で一緒に暮らし始めてから、三ヶ月が過ぎようとしていた‥‥‥。
俺はあの二人、若葉 柚葉と松塚 柚葉が、恋のライバル宣言をした日から二人はギクシャクとした仲になると思っていたが、実際はその逆で、今はまるで姉妹の様な仲になっている。
「ゆずちゃん、ここ間違っているよ!」
「えっ?あっ!本当だ。ありがとうお姉ちゃん」
あれから小さい柚葉は学校が終わると、俺の所に来て、大きい柚葉から勉強を見てもらっている。
その甲斐あって、最近の小さい柚葉は成績が上がったと、明菜さんが喜びながら教えてくれた。
まあ、大きい柚葉は高校を特待生制度で入学したから勉強はかなり出来る。
それに、二人の柚葉は互いを「ちゃん」付けで呼び合うほど、今は仲が良い。
因みに俺は二人の柚葉の事を、高校生の柚葉を大きい柚葉、小学生の柚葉を小さい柚葉と、心の中でそう呼んでいる。
そんなおり‥‥‥
「ねえ、お兄さん。来月の最初の日曜日って空いてる?」
「来月の最初の日曜日?‥‥‥うん、空いてるよ」
「じゃあ、その日空けておいてね♡来月の最初の土日の日、私達の学校の学園祭があるから♡」
「えっ?あー、もうそんな時期なんだ〜。うん、いいよ」
「いいの?やったあー!じゃあ、お兄さんにサービスしてあげるね♡」
「サービス?て、なにするんだい?」
「喫茶店♡」
「喫茶店ねえー。まさかのメイド喫茶だったりして」
「違うよ。普通の喫茶店」
「さようですかー(少し残念)」
「ゆずちゃんも一緒にきてよね♡」
「うん。必ず行くね。お姉ちゃん」
大きい柚葉は、俺と小さい柚葉が行くと言うと、両手を上げて喜んだ。
ここまで喜んでくれると、必ず行かないとと思ってしまう。
俺は三ヶ月前の松塚 柚葉の顔を思い出していた。
あの時の柚葉の表情は明るくは見えるが、何か暗いそんな感じだったが、今の柚葉は心の底から明るく笑って見える。
そんな大きい柚葉を俺がみつめていたので、何か恥ずかしそうに
「///な、なに。お兄さん///」
「うん?、柚葉の表情が明るくなったなって」
「明るく?」
「うん。何か綺麗になったなって。柚葉も由奈さんも」
「///えっ!///本当に!お兄さん!///」
「うん。本当に」
俺がそう言うと、大きい柚葉は恥ずかしそうに下を向いちゃいましたよ。
で、小さい柚葉が「私は?」と聞いてきたから、俺が
「柚葉もお姉ちゃんと一緒に居るようになって以前よりも可愛くなったよ」
なんて言うと、小さい柚葉は何か控えめな恥ずかしさを出して、喜んでます。
以前の小さい柚葉なら、両手を上げて喜んでいたんですが、やはり大きい柚葉の影響を受けているのではと思うんです。
しかし、こう言った日常がいつまでも続いて欲しいと思うのですが、いつかはこの二人の柚葉のどちらかを選ばないと、と思うと頭が痛いです(嬉しい顔)。
まあ、二人の柚葉の俺への気持ちが変わらなければですがね。
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