第9話 生きろ

藤原新也という、作家 写真家 絵描き 旅人がいる。著書メメント・モリの中でこう言っていた。

「死とは、なしくずしに訪れることではなく

その死を選びとる決断力を養いなさい。」


曹洞宗の修証義の一文はこう始まる

「生あきらめ死をあきらむるは、仏家一代の因縁なり。」

道元禅師の言葉である。

修証義のほうも、メメント・モリもちぎれちぎれの記憶から引っ張りだしたので、正確ではないと思うが、書いたとうりの意味合いだと思う。

統合失調症の陰性期の時に何度かベルトを首に巻き、ドアノブに引っ掛けたことがある。

辛かったのだ、孤独が。


(友達一人もいなくなっちまった。)

口に出して狭い喫煙所で独り呟いた。


すると、親友の声が確かに聴こえる

(俺たちがいるじゃないか、そんなさみしいこというなよ!!!)


涙が出てとめどなく溢れ流す、こらえようとしても、涙は切なく、気持ちよく流れ落ちる。


頑張らなくていい、ただ生きろ。

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