第4話 阿修羅


その髪の荒れた女は

或る日 斧を買いに行く

伐った木を綺麗に捌いてまとめたかったためだ。

とても素敵な斧を買えた、とても綺麗なこころを持つ女は、斧を持つと斧と会話をした。

斧は言う

***木は切りたくありません***

女は納得する

斧はさらに言う

***人も切りたくありません***

女もそう思った

女は斧を包丁の代わりに、野菜や肉を切る

斧も女ものりやすい性格だった

時に、ながれる音楽に合わせて、踊っていたりもした

女は恥ずかしくなり

斧も恥ずかしくなったりしていた

女は今ではお金が欲しくなり

女は今ではオシャレをしたくなり

斧も今では柄に紅い糸を巻いて、北の聖地の川で磨かれ、洗われることを夢にみて

荒れた髪の女は、どちらにしても斧を買ったことを喜んだ

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