阿修羅の如く

初柴 彩

第1話 夢

何もやる気が起きない

絵を描くことも、スケボーすることも、ジャンベを叩くことも、おしゃれ貯金することも、あの娘を感じることも、

ただシャグを巻いて喫煙所に行くだけだ


リスペリドンとタスモリンを断薬した

今は、ゼプリオン筋注100mgとエチゾラム1日3ミリだけだ


俺が統合失調症にかかったのは、今から16年くらい前、実際の通院は10年程だ


どこかの国は精神病という病いは無く、それは自然なこととして受け止められるらしい

大麻や阿片そしてキノコなんかを神々と近づくためや、日々の暮らしの一部として生活として暮らしていた1億ものネイティブインディアンを虐殺してその土地、文化、文明を奪った アメリカ人

僕は俄然ネイティブの暮らしに憧れる

あの日見た、幻覚は自然なことなんだろうと思う

ただただ、阿修羅の如く一心不乱に走り

ただただ、一途に心を信じ

彼岸を目指したい


でも、今は駄目だ

やる気が起きない、走れないのだ


心とシンクロできない

抜け殻のような日々

可愛らしい娘がいても、一つ屋根の下に共同生活していても恋をする勇気が出ない

女性関係がきっかけで、僕は病気になった

社会不安症に始まり、躁転

一時期はお金に恵まれ、会社といっても個人事業主だが、頑張っていたこともある

庭師だった 躁転状態で3年は無茶をした


2年半前の厄年、統合失調症が急性期にはいり、生活が一変した

東京から縁あって北海道に移り住み

今は施設にいる

変わらないように思える日常

祭りのない2年半

そんな俺にも一つだけ目標が出来た

絵が上手くなること

それが夢だ


この文を書いてからおよそ3年ほどだったと思う。

1枚油絵が、完成したとても気に入っている。

29歳くらいから始めた、上達しないためギター。ここ5年くらいは弾いていなかったし、ギターも持っていなかった。

2022/1月 トライアンフという4000円のエレキを手に入れた。

全てに於いて、いつかきっと...そう思い。絵画も音楽も撫でているくらいだ。


統合失調症という心の病、自覚できないのが、僕の場合の特徴だ。昨日も一睡も出来なかった、慣れっこだ。

薬を注射しないとまた、他人に危害を加えてしまう。

どうか、ご家族は自分の意のままにならずとも、容赦していただきたい。もし家族に病人がいるのならば、おそらく彼は、彼女は、夜も眠れず、それを当たり前に、なにかを溜め込み続けているとおもうから。

この病はご家族の、優しさが問われるのだと思う。要求をせずに、意のままにならないのは、家族と言えども、子供達は一個の生命体なのだから。

毎日が修行だ。所作や創作。楽器。1人学んでいくしかない。あなたがもし父ならば、子供に命を捧げよ。

愛を愛を愛を。

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