忘却

「どちら様ですか?」


 袴を着たクールビューティーを見上げる…。

 あれだからねっ!俺が背が低いからではなく、今座って作業してるから見上げてるんだからね!勘違いしないでよねっ!…まぁ立っても目線は、上がるのだが…。


「キミ達の噂は、聞いているよ。ああ…挨拶がまだだったね。初めまして、僕は書道部部長の防人サキだ。宜しく」


「ヨロシク…格好いい人だなぁ…ぽ///」


「じゃなくて…どこかでお会いしましたか?

 」


(防人サキ…何処かで名前だ…)


「会うのは、今日が初めてだ。だから初めまして、と言ったのだが?」


 なんだ?この既視感は…。


(なんだか、この人から面倒くさい匂いがする…)


 「俺はコウキ…大江コウキ」


「格好つけてるところごめんですが…先輩ぃ!!」


「なんだよ!大声だして。ビックリしたなぁ」


「ないんですよぉ!ないない!」


「何がだよ」


「スローガンですよ!スローガンっ!!」


「『団結』とか『絆』とか『ワンフォアオール』とか?」

「俺も出したんだよ案を…えっとなんだったっけ」


『押し付け』『無関心』『体力の限界』


「なんですか、それ?!最後引退しちゃてるじゃないですかっ!」


「あれだよ…働き方なんちゃら?スローガンなくてよくない?今時流行らないよ。今はプライベートな時間を守ろうって言うご時世なのだから、集団で団結する雰囲気ないでしょ?少なくとも俺のクラスは皆無」


 そう言って俺は、自分のクラスが、割り振りている旗の空白部分を指差した。


「先輩ぃの個人的恨みなんて、どーでもいいんですっ!あたしが顧問のダサオタメガネに怒られるじゃないですかっ!」


(担任が酷いあだ名だなで呼ばれている!後オタクに謝れ!)


 銀髪ワンレン美少女が割り込んで語りだした。


「国には国是。職場や学校には理念があるように、目標や指針は大事だぞ。人間は同じゴールがないと個々が勝手な行動をするものだ。…お前は生徒手帳を読まなかったのか?校訓や教育理念が書いてある。」


「ぼそっ(後アホみたいないらない校則も沢山書いてありますね」


「何か言ったか?」


めっちゃ睨まれてる…美人に睨まれるのってぞくぞくするね!


「コウちゃん…大丈夫?」


「んー大丈ばないです…今からデザイン代えるのは、時間的余裕が…」


「…こほん!話は、聞かせて貰ったよ…よし!此処は私が人肌脱ごうじゃないか!」


「「「男前!!」」」



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