4.もがききれない弱さ

「もしも」の選択をしなかった私は、必死で仕事を覚えて、めでたく半年後の10月にはクライアントを引き継ぎ1人で営業にでるようになった。


チラシやカタログの製作みたいな印刷物の仕事があるかと思えば、Webサイトの作成やSNSを使った宣伝、イベント内容の企画などなんでもありのこの仕事。


定期案件以外の仕事は先輩ですらやったことないものも多々ある。

そのため、そういう時は社内でチームを組んでサポートはうけられる。


それでも、この半年でほぼ一人立ちの状態は「異常」だったらしい。


営業として同期がいなかった私がこのことに気がつくのは後輩ができてからだったが…。




そんなこんなで、異常に早い状態で一人立ちしたにもかかわらず、2年目になるまで大きな問題もなく。

なんなら先輩が挑戦していなかったような、企画書を作って自主提案してくる…なんてプラスアルファなことまでする始末。



周りから見れば、そりゃあ


「あれ?こいつもしかしてまだ余力ある?」


ってなるわけで。




でもこのときすでに自分の中では一杯いっぱいで、消化しきれないもやもやも抱えていた。でも、このもやもやが何なのかはっきりしたのは最近の話。



上司にも先輩にも困ったことはないかと聞かれても、うまく言葉にできず。

それでも一杯いっぱいなのは間違いないので、なんとか思い付く言葉で伝えてみるが、教えてもらう対処法や、とってくれた対策は的を得ず。



結局伝えることを諦めて飲み込み、ただがむしゃらに仕事に打ち込むようになった。

そうすればもやもやもいつか消えると自分自身を騙して。



と同時に、周りの自分に対する期待の声も徐々に大きくなっていた。




「もしも」この時、伝える努力をしていれば、もっと自分自身の声に耳を傾ける努力をしていれば。



自分が壊れる前に助かる方法が見つかっていたのかもしれない。


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