Stereotype

床町宇梨穂

Stereotype

彼女は渋めの色のスーツを着ていた。

髪はもちろんショート。

化粧も厚い。

パンプスのヒールも必要以上の高さは無い。

吸いかけの煙草のフィルターには口紅がたっぷり。

どこから見ても自立した現代女性。

そして僕が最も苦手とするタイプ。

話をしてみれば僕の期待を少しも裏切らないきつい性格。

人に対する態度だって見かけ通り傲慢だ。

とにかく彼女は僕の固定観念を崩さなかった。

車はドイツのコンバーティブル。

使ってるコンピューターはMAC。

携帯電話は十五分に一回の割合で鳴る。

こういう女はだいたい話をしていてもつまらない。

冗談は通じないし、使う表現は必ずダイレクトだ。

ビジネスライクにしか話ができないし、本心を絶対見せようとしない。

ある日理由は忘れたけれど、いつになく僕は熱くなって話をしていた。

そんな時、彼女が言った。

「そんな大きな声で世の中に向かって宣言しなくてもいいのよ・・・。」

面白い表現だ。

固定観念は崩された。

それ以来彼女は僕の友達だ。

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Stereotype 床町宇梨穂 @tokomachiuriho

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