She has a sandbag.

蛇穴 春海

第1話

友達がクラスメイトの男に人気の無い団地へ連れ込まれるのを見た。大人しく、私ぐらいしか友達と呼べる人がいない友達。素行が悪く、常にクラス中から陰口を叩かれている男。連れ込まれる様も相俟って、ふたりは恋人同士ではないということは明確だった。


ふたりの後を追い、団地の踊り場へ向かう。すると案の定、友達は男に乱暴されまいと小さく抵抗しているところだった。私はすぐさまふたりの間に入った。

男は評判通りの乱暴者だった。私を見るや否やいつ手が出てもおかしくない状況へと変わる。暴力沙汰になってはいけないと、なるべく相手を刺激しないよう接した。しかし、どんなに穏便に済ませようとしても無駄だった。



──無駄だったが故に、男は階段から落ちて死ぬこととなる。

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