キオクノカケラ〜転生少女は過去を探す〜
奈倉菜奈
始まり
第1話転生ですよ
熱い……それに苦しい……あ、人がいる
「―――!―――ら―げろ!」
え、今なんて?それにあなた顔が……
「ーーー!逃げろ!」
逃げろ?ってあなた足が!
「いいから逃げろ!」
でもあなた怪我してる、助けないと
「俺のことはいいどうせもう長くない」
え……
「だからーーー、お前だけでも逃げて生きろ!」
えっ待って!なんで!なんで遠くなってるの!後ろに飛んでるの!助けないと、待って待ってよ!
ドサッ
うぅ……頭痛い……落ちたのかな?さっきのは?なんか浮いてた気が……
「やあ、起きてるかい?小さなお嬢様」
誰?というかここは?さっきの場所とはだいぶ違う場所だけど
「んー僕が誰かか、そうだねー君たちの所から言うと神様になるのかな?そしてここは死後の世界、まぁ天国でも地獄でもないんだけどね」
ふーん、死んだのね私、状況からするとあの燃えた建物かしら?
「…………」
何黙ってるのよ
「いや、ただあそこで死ねたならマシだっただろうなと思っただけだよ」
え、それって
「変に思い出さない方がいいよ」
…………
「そんなに睨まないでくれ」
……わかったわ、でそんな神様が私に何か用?天国でも地獄でもない場所に来たんだからそれなりの事なんでしょ
「ああそうだった、君にちょっとしたプレゼントをあげようかなと思ったんだ」
ちょっとしたプレゼントって……私死んでるんだけど
「だからこそなんだ、君にはね第2の人生をプレゼントしようと思うんだ」
第2の人生ってそれって転生?なら元の世界がいいわね、落ち着くし何より知ってる世界だから楽だわ
「それはダメなんだ」
ダメって……なんで?
「死んだ人の魂を同じ世界に送ることは出来ないんだよ」
ふーんなるほど
「だから君には魔法の世界をおすすめしようかとね」
え、いいの?面白そう
「まぁ魔法以外にもあるけどそれは後のお楽しみかな、君がいいならすぐにでも転生させるよ」
うそ!やったー!
「喜んでくれて嬉しいよ、そうだ!特別にオマケをしてあげよう、君が向こうで5歳になったら僕から特別な贈り物をあげよう」
え、いいの?
「いいとも、なんたって僕は神様だからね」
やったー!ねぇ早く早く!
「よーしこれから君を転生させる、第2の人生幸せに暮らしなよ」
はーい
「君に幸せな人生が訪れることを願うよ、それじゃ行ってらっしゃい」
いってきまーす!
「ほんと昔の君にそっくりだね、あの笑顔は特に」
「…………」
「君が珍しく僕に頼み事をするんだから驚いたよ、しかも転生させて欲しい人がいるんなんてね」
「…………」
「おおこわいこわいそんなに睨まないでくれよ」
「…………」
「でも良かったのかい?記憶のことを伝えなくて」
「……わたしゃあの子に後悔して欲しくないだけだよ」
「それならいいんだけど……」
(1つの大きな嘘を許してね、そして今度こそ幸せになってよ小さきお嬢様、絶対に後悔はしないでね)
「さてお仕事に戻りますか」
あれから私は光に包まれた、がその光はもう無くただ暗闇が周りを支配した。
幸せにと言った神様の姿は見えない
(結局あれは夢だったのかしら)
そんな事を思ってると小さな光が近くのに気がついた。
(あそこに向かわないと)
何故そこに向かうのかは分からないただそこが出口だということだけが頭にあった。
「おぎゃああああああああ!あぎゃあああ!」
「産まれました。旦那様!元気な女の子ですよ!」
「あぁ良かった、元気な子で本当に……」
視界がぼやけて見える、ただ目の前に映るのが人だと分かった。
(あぁ……夢じゃなかったんだ……)
夢ではなかったことに安心し私は目を閉じた。
〜1年後〜
身体もだいぶ動くようになり、今は部屋の中をハイハイをして動き回る、えぇもちろんベビーベッドから脱走して。
「ティナお嬢様また逃げ出したのですか?ほらベッドに戻りますよ」
まぁ近くにいるメイドさんにすぐ捕まるんですけどね
ここ最近色んなことがわかった
まず1つ目は私の名前、さっきのメイドさんも言っていたが、ティナ、ティナ・ハートノース、薄い空色の髪と黄色の瞳を持つ女の子だ
ハートノース家の次女で上には姉が1人兄が2人いる、貴族の家系らしく家も大きく部屋も広い
(というか広すぎでは?パーティ会場並に広いよこの部屋)
赤ちゃん1人を育てるには広すぎる部屋を見渡しながらそう思った。
そして2つ目、この世界には家事魔法レベルから攻撃魔法などの魔法や剣や弓、斧などの武器の他に特殊な力を持つ能力者というのが存在するのがわかった、まだ見たことはないからわからないけど父が「この子の能力はなんだろうなー」と言っていたので多分ある。
最後に3つ目、私に前世の記憶はほとんどない
いやほとんどではないな、火はなんで燃えるだとかの知識やこんなのあったなとかのどうでもいい記憶は残ってる、が前世の自分の名前、家族の顔、どこに住んでたのかなぜ死んだのかは思い出せない、思い出そうとすると頭痛がして頭が働かなくなる、まぁ今の私には関係ないか
(ふああ……なんか眠くなってきた)
「すぅー」
「あら、寝ちゃいましたか、あそこから抜け出すの結構体力使うのでしょうか?」
そんな事を言ってメイドはティナを抱きベッドに乗せて明かりを消し部屋を出た。
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