第19話転職と俺
『大変恐れ入りますが、今回はご期待に添えない結果になりました。下記詳細を……』
淡白な文字の羅列。
見慣れた言葉。
見飽き文章。
「またか」
俺はため息とともに、ベットに転がる。
携帯を乱雑に投げ捨て、自身もベットへと投げ出す。
これで何社目だろうか。
書類先行で落ちたのも合わせれば、既に20は超えている。
転職市場は厳しいと理解はしていたが、まさかここまで厳しいとは。
覚悟はしていたが、現実に直面すると中々に辛いものがある。
一度落ちる度に、
自身は必要ないと、
俺に価値はないと、
否定されているような気分になる。
だけれど、ここで諦めることは人生を諦めることに同義である。
幾度となく、企業をしようとか、目先のアルバイトに逃げようと思ったが、なんとか堪えた。
問題の先送り、
現実逃避、
それは単に課題という雪だるまを転がすだけだ。
時間経過とともに、そいつはどんどんと膨れ上がる。
最終的に、自身では動かせない程に大きくなって、
俺はそいつに潰されることになる。
だから、俺は足掻く。
足掻いて、足掻いて、手にするのだ。
前の会社よりも、いい会社の内定を。
ーーと、息巻いてみたが、実際現状は芳しくない。
貯金も時間経過で着々と減ってきている。
残された時間は、わりと少ない。
節約することで、多少の延命措置は取れるだろうが、根本的な解決にはならない。
現状を打破することはできない。
「けど、どうしたもんかな」
一人天井を眺め、思案する。
俺の何が悪いのか、
俺のどこが足りていないのか。
企業側からのリジェクト理由は宛にならない。
恨みを抱かれないようにマイルドに書かれているからだ。
面接関連書物も、大した知見にはならなかった。
志望動機もちゃんと言えてるし、
一般常識も守っている、
SPI対策も万全だし、
企業研究も一社毎にしてる。
だけれど、まるで駄目だ。
一部、書類を通過していることから考えると、言い過ぎなのかもしれないけれど。
じゃあ、本当になんだろう?
見た目か?
雰囲気か?
オーラか?
思えば、俺はよく理由なく人に嫌われ、好かれるタイプではあるが。
それが面接官相手に、悪いベクトルで発動したのだろうか。
うーん、困った。
このままでは、マダオになってしまう。
まるで、
駄目な、
お兄さんに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます