第456話16-10鬼神ショーゴ・ゴンザレス
16-10鬼神ショーゴ・ゴンザレス
「うおぉおぉぉぉぉっ!」
ショーゴさんがユグナスに切り込んでいく。
しかしユグナスはその一撃を難なく受け止めなんと受け止めた剣を九十度逸らせてショーゴさんの刃を受け流し流れるような一撃をショーゴさんに打ち込む。
ショーゴさんはその一撃をオリハルコンのプロテクターで弾こうとして大きく飛び退く。
そしてあたしはそのプロテクターを見て目を疑う。
オリハルコンのプロテクターが切られている!?
あり得ない。
女神の鎧として使われていた幻の金属オリハルコンに傷どころか切れ込みを入れるなんて!!
「ふむ、やはり普通の鎧ではありませんか? そこのマナが弱くなっていたので切れると思ったのに」
ユグナスはそう言って剣を構える。
「ドラゴン百裂掌!!」
とそこへクロエさんがいきなりドラゴン百裂掌を叩き込んだぁ!?
「どうでいやがります!? 剣聖だか何だか知らないでいやがりますが竜族の攻撃を受けきれるでいやがりますか!?」
どががががががっ!
連続でぶつかる音がするけどユグナスは微動だにしていない?
「横から邪魔するのはよしてもらえませんか? 力だけの技はたとえ強力でも私には通じません」
ざしゅっ!
「くっ!」
クロエさんは呻きながら飛び退く。
その右腕は無残にも切り裂かれ鮮血を流していた。
「クロエさんですわっ! 【回復魔法】!!」
ティアナに続きクロエさんまでも切られる何て!
今迄にいない強敵にショーゴさんは構える。
「ならば通すまで! ゆくぞ!!」
ショーゴさんはなぎなたソードを構え切り込んでいく。
そして先ほどと同じく剣で受けられ返しの攻撃がショーゴさんお腹部に!
ガキンっ!
しかしその刃は今度はショーゴさんに届かず既に引き抜かれていた短剣で防がれていた。
「うおおおぉぉぉっ!」
ショーゴさんは二刀流になり次々とユグナスに剣を叩き込む。
しかしユグナスも引かずそのすべての剣戟を弾いている。
「手数で通せると思うなよ!」
そう言ってなぎなたソードと短剣を弾きショーゴさんの胴を無防備にさらさせる。
まずい、今そこに一撃を受けたらオリハルコンのプロテクターで防ぎきれない!
あたしがそう思った瞬間だった。
「手数はまだまだあるさ」
そう言って何とショーゴさんはなぎなたソードと短剣から手を離し肩や腰から短剣を引き抜きその一撃を防ぐ。
「何っ!? 剣士が剣を捨てるだと!?」
驚くユグナスだったけどすぐにその場から離れる。
一旦間をおいてショーゴさんを睨み付けそして捨てられたなぎなたソードを見る。
「貴様、剣士の風上にも置けんぞ! 剣を捨てるなど!!」
「あいにく俺は剣士では無く戦士なのでな。全力で戦いに勝つ!」
そう言って短剣を構え飛び込んで行く。
そのスピードは変身しているせいもあり一瞬で間合いを詰めるほどだ。
「おのれっ!」
ユグナスはショーゴさんの一撃を弾きながらカウンターを入れるがその都度ショーゴさんの変則的な動きに翻弄される。
「くうっ、やりやがったでいやがりますね! と、邪魔でいやがります!!」
クロエさんも回復してユグナスに飛びかかろうとすると他の剣士が邪魔をする。
そしてあたしを驚かせるのは思った以上にその剣士たちが出来ると言う事だった。
「ふむ、我がドラゴンクロ―をその剣で受け止めるとはな。見事だ、しかし!!」
向こうでもクロさんが剣士と戦っているけどなかなか数を減らせていないようだ。
「エルハイミ、何なのよこいつら!? 強いわよ!!」
シェルが精霊魔法で援護しながらティアナやベルトバッツさんたちの戦いを加勢しているけどこの剣士たち本当に強い。
「くうっ! これでも喰らえ!!」
セキがドラゴンブレスを吐くけど後ろから魔術師たちが【絶対防壁】を展開してそれを防ぐ。
魔術師たちもガレントにいる術師なんかよりずっと腕が上のようだ。
「セキ、むやみにブレスを吐くのではありません! 下がりなさい。ここは私が受けます!」
そう言ってコクも剣士たちにドラゴン百裂掌を放つ。
ホリゾン帝国は軍事国家。
その保有する戦力はこう言った優秀な人員に支えられている。
そこかしこであたしたちは前に進むことを阻まれる。
がきんっ!
見ればショーゴさんが大きく弾かれ片方の短剣を弾き飛ばされていた。
「最後だ!」
ユグナスはそう言ってショーゴさんに切り掛かる。
ショーゴさんはセブンソードの最後の一本でそれを受け止めようとするがその短剣も弾き飛ばされてしまった。
そしてその刃がショーゴさんのお腹部を貫く。
「てぇぃっ、まだまだぁっ!」
ショーゴさんはそう言って右手でユグナスの剣を掴み動きを止める。
「何っ!? 貴様腹部を貫かれてまだ動けるのか!?」
「もう人をやめているんでな! 喰らえ【爆炎拳】!!」
ショーゴさんの義手が展開して炎を吐き爪を伸ばして手のひらに赤い魔晶石がきらめく。
近距離から直接インパクトを与える必殺技。
「おのれぇ! 放せ! 離さんかぁっ!!」
「うぉおおおぉぉぉっ!」
ばんっ!
いくら心眼を開き瞳を金色に輝かすほどの同調が出来ても生身の人間、ショーゴさんの一撃を食らってユグナスはその背中をはじけさせ鮮血を飛び散らす。
「貴様は確かに剣士としては強かった。しかしとっさに剣を離せないその性格のせいで破れた。俺は戦いに勝つための戦士だ。剣だけに捕らわれる事は無い」
「くっ、自身の負傷もいとわずとは‥‥‥ ぐふっ! 貴様は剣聖ではない、戦いに明け暮れる鬼神だ‥‥‥ がはっ!」
ユグナスはそのそう言って二度と動かなくなった。
剣に生き剣に死ぬ者の最後なのだろう。
ショーゴさんには剣聖を渡さず鬼神などという呼び名を残すとは。
あたしは急いでショーゴさんのもとに行き状態を見る。
「かろうじて重要機関は避けているようですわ。とにかく生命維持装置には被害が無くて助かりましたわ。ショーゴさん、動かないでくださいですわ。【錬成魔法】」
あたしはユグナスの剣を引き抜きショーゴさんの体を最低限回復させる。
「エルハイミっ!」
シェルがあたしを呼ぶ。
見れば魔法陣が輝き始めている。
『まずい、もうすぐ魔法が発動するわ! エルハイミ、ティアナ!!』
シコちゃんもその様子を見て魔法が効力を放つのを察知する。
「ティアナ! 時間が有りませんわ!!」
「分かっています! そこをどきなさい! はぁっ! ガレント流剣技九の型、九頭閃光!!」
残りの剣士も強いけど流石にティアナにはかなわない。
後ろから魔術師が攻撃魔法を放つけど同調したあたしやティアナにはそんなものは通用しない。
魔力還元して吸収して倍返ししてやる。
とにかく魔法陣へ行かなければ。
立ち塞がる剣士たちを吹き飛ばしあたしたちは今すぐにでも動き出しそうな魔法陣へと向かうのだった
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