第164話7-2ハミルトン家で
7-2ハミルトン家で
かぽーんっ!
あたしたちは実家の大浴場にいる。
「本当に気持ちいいのかしら?お湯よお湯!茹でられちゃうんじゃないの??」
「ね、姉さまあの、せめてタオルで隠してください。」
「うわー、姉さまエルフの人よりおっきい!」
みんな口々に何か言っている。
あたしは構わず皆にお湯をかけて湯船に放り込む。
「うわっ!熱い!!って、何無理やりお湯の中に落とそうとしているのよ!!わっ、わわっ!!」
どぼーん!
とりあえずエロフをお湯の中に放り込む!
「ぷはっ!あ、あつい~!!」
「大人しく肩までつかりなさいですわ!ほらバティックとカルロスも入るのですわ!」
あたしは自分もお湯を浴びてから二人を捕まえてお湯に入る。
「ね、姉さま!胸!胸当たってますぅ!!」
「うわー、ぽよんぽよん~。」
騒ぐ二人も動けない様に首に手をかけ引き寄せるあたし。
ちゃんと肩までお湯に浸からなきゃダメでしょ!
バティックは早くも真っ赤になってカルロスはあたしの胸に顔をうずめたままお湯につかる。
「うう、なにこれ、ほとんどがまん大会?あ、でも、だんだんチクチクした熱さが落ち着いてきて気持ちいいかも?やばい、これって癖になりそう・・・」
シェルは最初騒いでいたけどお湯につかる気持ちよさにだんだんと目覚めてきたようだ。
抑えられていたバティックとカルロスも落ち着いてきてカルロスなんかあたしに寄りかかったまま気持ちよさそうにしている。
「ふううぅぅっ、どうですのシェル?入ってみて落ち着けばじわじわと気持ちよくなってくるでしょう?これがお風呂ですわ!」
「うう、確かに寒いときとかはいいかも・・・なんだろこのじんわりと来る感覚。だんだん気持ちよくなって力が抜けるぅ。」
とうとうお風呂の魔力に気付いたシェルは緩んだ表情しながらお湯につかっている。
「姉さま熱くなってきたよぉ~。」
「駄目ですわ、ちゃんと百数えなきゃお湯から出てはいけませんわ!バティックもそっちに逃げていないでこっちにいらっしゃいですわ!」
あたしはそう言って一人向こうを向いて体育座りしているバティックを後ろから羽交い絞めして抱きしめる。
「うわぁ!姉さま何するんですか!!ちょっと!あ、当たってるんですってば!!」
何か言い訳して逃げようとしているけどそうは問屋が卸さん!
あたしは引き続きカルロス同様こちらを向かせてあたしの首筋にバティックの顔を抱きしめ動けないようにする。
「バティックも男の子なんだからこのくらい我慢なさい。ちゃんと百数えなければ出してあげませんわよ!」
「///ううぅう~~~っ!!」
唸っているけどカルロスと一緒に百数えてから離してあげる。
だいぶ真っ赤になっているけどちゃんと温まらないとだめです。
さて、あたしは立ち上がる。
十分温まったし体を洗わなくては。
ん?なんかバティックがさらに真っ赤になっているけど、そろそろ出してあげないと湯当たりしちゃうかな?
「ほら、バティック、カルロス洗ってあげますから出てきなさいですわ!」
「はーい、姉さま。」
素直なカルロスと違ってバティックはもじもじしているけどあたしはちゃっちゃと弟二人をきれいに洗いあげお風呂を出た。
カルロスをごしごしとタオルで拭いているけどバティックは自分でさっさと体を拭いて逃げ出すようにどこかへ行ってしまった。
うーん、反抗期?
「バティックどうしたのでしょうかしら?」
「さあ?自分でいろいろできるのに姉に主導権取られて拗ねてんじゃないの?」
「私、嫌われてるのかしら?」
服を着ながらムウと唸る。
するとカルロスはニヘラ~と笑ってこう言った。
「バティック兄さんお姉さまの事大好きだよ?将来お嫁さんにするんだって言ってたもの!」
あたしは思わずきゅんとなってしまう。
か、かわいいなぁ、弟。そんなこと思ってくれてたんだ。
「それはうれしいお話ですわね、そう、嫌われているわけではないのですわね?」
「うん、僕も姉さま大好き!大きくなったらお嫁さんになって!!」
あたしはにっこりしてこう言う。
「それにはカルロスも立派な男の人にならなければだめですわよ。私を守れるくらい強くならなければだめですわ!」
指を立ててそう言うあたし、カルロスは「うん!分かった、僕強くなる!!」と元気に言う。
素直でよろしい。
* * *
さて、さっぱりしたので色々と片づけを始める。
とりあえず正式にシェルとシコちゃんを紹介する。
パパンたちは驚いていた、主にシコちゃんに。
何せパパンにはシコちゃんの声が聞こえるからいろいろと話をし始めていた。
ママンはシェルをだいぶ気に入ってしまったようで何やら二人でいろいろと話を始めた。
ショーゴさんはバティックとカルロスから鍛えてもらいたいと言う事でさっきから裏庭で何かしている。
あたしはササミーとヨバスティンに会いに行く。
目的は二人の子供を見に行くためだ。
今は三人はお屋敷の隣にある小さな小屋に住んでいる。
あたしが会いに行くとササミーが出迎えてくれた。
それはそれはご丁寧に。
「ぅぇエルハイミぃさまぁっ!こんなところにわざわざお越しいただけるとは!!至極恐悦であります!!」
「ありましゅ!」
片膝ついて騎士が頭を垂れる様に親子二人で玄関先であいさつされる。
ササミーは相変わらずだけど隣にいるこの女の子、確か三才になるはず。
「はいはい、ありがとうですわ。二人ともそんなかしこまった挨拶は良いですから立ってくださいですわ。」
あたしはそう言って二人を立たせる。
そして女の子に向かって話しかける。
「初めまして、お名前はなんて言いますの?」
「ユミナと申しましゅ、エルハイミ様!」
ユミナと名乗ったこの女の子は見事な挨拶をしてきた。
うあー、なんとなくヨバスティンの面影有るけど髪の毛の色とかササミーと同じだ。
あたしも正式な挨拶で答え、ユミナの手を取る。
「大きくなりましたわね。元気そうで何よりですわ。ササミー、お部屋に上がらせてもらってもよろしいかしら?」
「むぉっちろんでございますぅ!!ささっ、エルハイミ様!むさくるしい所では有りますがどうぞ!!」
あたしはちょっと苦笑して部屋に上がる。
そしてその後の話やチョコレートの作成のお願いやお土産を渡しここを後にする。
ユミナちゃん可愛かったなぁ~。
一生懸命な所が母性本能を刺激する。
その後あたしはシコちゃんと話し込んでいたパパンの所に行って風のメッセンジャーの魔道具の設置をする。
もともとユーベルトには王国からも一つ支給されているけど、これはプライベート用のモノ。
予定では北の砦と実家の間で使える物を専用で準備した。
これで何かあればすぐに連絡がつく。
急ぎの事が有れば二日以内には戻れる。
これで大体の事は済んだ。
今後は頻繁に実家にも戻れるし、何かあれば連絡が取れる。
* * *
あたしは爺様の書斎に行った。
きれいに片づけられていたこの部屋には爺様が使っていた大きな椅子と机がそのままになっていた。
あたしは何となくその椅子に座り部屋を見渡す。
引退後いつもここでなんかしていた爺様。
ライム様に連れられてもうセミリア様の所についただろうか?
今度もちゃんと人間に転生できるだろうか?
そんなことを考えながら椅子にもたれてあたしは眠ってしまった。
爺様の想いでの夢を見ながら。
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