第16話2-10鑑定結果

2-10鑑定結果


 俺の血を垂らした銀色のプレートはティアナの時には比べ物にならない程の光を放った。




 そしてそれにつられて水晶も輝きを始める。

 その色は様々で、七色を表したかと思うといきなり真っ黒な光になり、そしてまた真っ白な色へと成ったりする。


 次第にその光は強くなっていき、水晶は直視できないほど光り輝き始めた。


 「こ、これは何事じゃ!?」


 宮廷魔術師も経験がないのか、まぶしさにあがらっている。

 しばらく強烈な光を放っていた水晶だが、びきッという大きな音がしたと思ったらひび割れて飛散してしまった。



 まばゆい光が落ちついた謁見の間。

 誰もが無言になっている。


 俺も何が起こったか理解できなくなってポカーンとしてしまっている。




 なにこれ?

 どういう事??



 「こ、これはいったいどういう事じゃ!?水晶が割れるとは!?」


 宮廷魔術師の爺様も状況理解ができていないようだ。

 次第に周りもざわざわとしてくる。



 「宮廷魔術師よ、これはどういうことか?」


 朗々たる王の声に宮廷魔術師の爺様は一瞬ビクッとして国王陛下に向き直る。


 「恐れながら、陛下、このような事態は私めも初めてでございます。しかもエルハイミ殿の魂はどの女神にも属さず、さらに高みにある何かとつながっているとしか言いようがございません。その質、魔力量ともに計りきれずきれず、前代未聞でございます。」


 ここで周りがどっと騒がしくなる。



 「静まれ。」



 国王陛下の一言で場がピタッと静かになる。

 そして国王陛下が重々しく口を開いた。


 「では聞くがこれは良きことか、悪しきことか?」


 一瞬周りがざわつく。


 宮廷魔術師は額に汗をにじませながら自分の考えをまとめる。


 「恐れながら、エルハイミ殿の魂につながるものが何であるかわかりませと何とも言いようがございませぬ。しかしながらその力は確実に絶大、我が国に賛同されれば間違いなく力になりましょう!」


 おおー!と周りから歓声が上がる。 


 俺はパパンを見てからティアナを見る。

 二人とも目を見開きこちらを見ている。


 それから国王陛下を見上げると重々しく瞼を閉じ、何か考えているようである。


 そしてその重々しい瞼を開き、鋭い目でこちらを見る。


 「では、良きことと成るであるな、ハミルトン卿よ。」


 固まってたパパンはすぐさま膝をつきかしこまり答えた。


 「無論にございます、陛下。我がハミルトン家はガレント王国に忠誠を誓うもの、その一族は必ずや陛下と王国のご期待にお答えいたします。」


 途端に周りから歓声が上がる。

 俺は大騒ぎの中、一応パパンと同じように国王陛下に向かって膝を折り頭を下げる。


 すると国王陛下が声をかけてきた。


 「エルハイミ、いやエルハイミ殿よ、そなたの力我が国の為に使ってはくれまいか?」



 うあー、専売契約かよ!

 すっごい断りたい!

 国の為に人生決まりかよ!?


 しかし国王に直接スカウトされたら断れないじゃん!



 俺は仕方なしにゆっくりと顔を上げる。

 そして国王陛下の瞳を見上げる。


 その瞳は一国の王として、そしてその責任を背負うものとして真剣なまなざしであった。



 俺は内心降参のため息をついた。



 「陛下、私めの様な若輩者でよろしければ何なりと。」


 途端に周りから歓声が上がり、エドワード王をたたえる声や祖国万歳の声が聞こえる。

 陛下は安堵した顔つきになり、一瞬優しい笑顔を向けてくれた。



 「大儀である!本日は我がガレント王国にとって良き記念の日となるであろう!今宵は宴を催す!皆の者よこの若き二人の偉大な魔術師に祝福を!」



 おおー!と更に歓声が大きくなる。



 ぱちくりと目を瞬いている俺にパパンが手を差し伸べる。

 俺はパパンの手を取って立ち上がりティアナを見る。



 彼女は優しく、そして嬉しそうに微笑んでいた。


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