かぐや姫の息子に転生したら、そこは女だけの月世界だった。これってハーレム?

なつきコイン

月世界編

ティモカ

第1話 いきなりお風呂回

「ツキヒロちょっといいかしら」

「何ですかお母様」


 俺が自分の部屋で、侍女のブリジットに抱っこされ、絵本を読んで貰っていると、母のカグヤが一人の少女を連れて入ってきた。


「今度新しく、あなたの世話係になったティモカよ」


「メイド見習いのティモカです。ツキヒロ様の身の回りのお世話を仰せつかりました。頑張りますので、宜しくお願いします」


 ティモカは、緊張した様子で頭を下げる。

 俺はブリジットの膝の上から降り、ティモカに駆け寄り抱きついた。


「僕の方こそ宜しくね。ティモカお姉ちゃん」


 十分にティモカの太腿の感触を堪能した後、俺はティモカに抱きついたまま、顔だけカグヤに向けて尋ねた。


「お母様、そうすると、ブリジットお姉ちゃんはどうなるの」

「心配しなくても、ブリジットは今まで通り、お前の世話係を続けて貰いますよ」

「そうなんだ。良かった。ブリジットお姉ちゃん、これからも宜しくね」

「はい、ツキヒロ様、こちらこそ宜しくお願いします」


「それじゃあティモカはブリジットによく聞いて、しっかりやるのよ」


 そう言ってカグヤは戻っていった。


「ティモカお姉ちゃんは、何歳なの」

「ツキヒロ様、小学校を卒業した人に年齢を聞いてはいけませんよ」

 ブリジットに怒られてしまった。女性に年齢を聞いてはいけない。女性だけしかいない月世界でも常識のようだ、しかも適用年齢が低い。


「そうなんだ。ごめんねティモカお姉ちゃん。僕知らなかったよ」

「いえ、いいんですよ。ツキヒロ様だけに内緒で教えちゃいますね」

 ティモカは唇を俺の耳元に寄せ、囁く様に年齢を教えてくれた。吐息が耳に掛かり、くすぐったくもあり、気持ちよくもあり、思わず興奮しそうになる。


「ティモカお姉ちゃんは随分若いんだね。でも、その歳でメイド見習いって早くないのかな」

 流石にこの歳では、まだ、いろいろボリューム感に欠ける。ブリジットには、引き続きお世話になることだし、ティモカには、これからの成長に期待するとしよう。


「そんな事ありませんよ。私がメイド見習いになったのもティモカと同じくらいの歳ですし。一般的にそれくらいになると何らかの見習いになるものです」

 答えたのはティモカではなくブリジットだった。


「そうなんだ。僕もその頃になるまでに、何になるか決めないといけないかな」

「ツキヒロ様は、母親であるカグヤ様の後を取られて、王様になられるのですから、そんな心配は要りませんよ」


「そうなの?でも、月世界では女王が普通だから、妹のオリエかオトエがなるんじゃないの」

 俺には二つ下の三歳になる双子の妹がいる。


「それは、今まで月世界に、男の人が一人もいなかったからです。ツキヒロ様は月世界唯一の男性として、立派な王様を目指してください」


「ブリジットお姉ちゃんがそう言うならそうしようかな。立派な王様になるにはどうすればいい」

「まずは、勉学と体力づくり、魔力の操作に慣れることも重要ですね。 それに礼儀作法や社交性を高めていく必要があるでしょうし、人々を惹きつけるカリスマ性や指導力も身につけたいですね。それと将来に渡って信頼できる部下が必要になります」


「何か難しいね。もう部下はブリジットお姉ちゃんがいればいいや」

 そう言って、俺はブリジットに抱きつきます。

 この感触、やはりブリジットはいい。ティモカではまだ物足りない。


「ツキヒロ様、私でよければいつまでもお側に置いて下さいね」

「ツキヒロ様、私も、私も部下に、仲間に入れてください」

「ごめん、ごめん。ティモカお姉ちゃんも仲間だよ」

「有難うございます」


 俺はティモカの手を取ると、大きく上下に振ってあげた。



「ツキヒロ様、まだ夕食まで随分時間が有りますがどうされますか、先程の絵本の続きをお読みしましょか」

「んー。それもいいけど、ティモカお姉ちゃんもいることだし、みんなで散歩に行こう」


 こうして俺たちは散歩に出てきた。


 月世界は、水も空気も無い、岩ばかりの世界ではなく。木が生い茂り、小川のせせらぎが聞こえる自然豊かな世界だった。前世の月とは大違いである。


 そう、俺には前世の記憶がある。三十八歳のおじさんの記憶だ。見た目は子供、中身はただの助平なおやじである。しかも、どうも異世界転生だ。


 この記憶によると、俺は、かぐや姫の物語の中に転生したらしい。しかも、ここは、かぐや姫が月に戻ってから六年後の月世界らしいのだ。

 らしい。何故らしいかといえば、母から聞く地球の様子は、日本の平安時代、正にかぐや姫の物語の世界観そのものであり、母であるカグヤと俺は純日本人的な見た目であった。


 しかし、それ以外の住民は、西洋人系、東洋人系、更には亜人系と様々であり、建物や生活様式は中世ヨーロッパといった感じで、前世の記憶にある、かぐや姫の物語の世界観からはかけ離れている。

 だが、これは、かぐや姫の物語が地球の日本を舞台にしたもので、月世界については説明されていない。その為、違和感があるが、そういうものだと言われれば納得するしかない。


 見た感じは地球の景色と変わらないが、大きく違っている点がある。それは、空を見上げれば、そこには地球が浮かんでいる。今日は三日月、いや三日地球だが、太陽の脇にその四倍近い地球があるのだ。昼も夜も関係なく、満ち欠けはするものの、常に空の同じ場所にある。その存在感たるや、ここが月世界、異世界であると思い知らされる。


 俺は、月を見上げながら、右手をブリジット、左手をティモカと繋ぎ、正に両手に花状態で草原に続く道を歩いている。


「あ、ウサギですよ、ツキヒロ様」

 ブリジットが、草原の中に一匹の白ウサギを発見した。

「本当だ、珍しいね」

「この辺では滅多に見られませんからね」

 ブリジットが、可愛いものを見つけた少女のように、ウサギを見つめる。

「私にお任せください」

 ティモカが、獲物を見つけた狩人のように、ウサギを捉える。


『ライトニングアロー』

「ティモカ、何をするのですか」


 ティモカがウサギを狙い魔法を放つのを、ブリジットが必死に引き留めようとする。

 魔法はウサギを少し逸れ、当たることがなく、その横を抜けていく。ウサギは驚いて逃げていった。


「ああ、逃げられてしまった。ブリジット先輩、邪魔しないでくださいよ。折角ウサギを仕留めて、ツキヒロ様に良いところをお見せしようと思ったのに」

「ウサギが可哀想でしょ。良いところを見せるなら別のことにしなさい」

「えー、折角のチャンスだと思ったのに」


「ティモカお姉ちゃんて、随分肉食系なんだね」

「はい、お肉大好きで、よく狩に行きます」


「そう、じゃあ今度狩に行くときに腕前を見せて貰うね。だから散歩中にウサギを狩るのは無しということで」

「分かりました。今度狩に行くまで、楽しみは取っておきます」


 今度の狩を思い浮かべているのか、ブリジットに怒られて少し凹んでいたのに、もうルンルン気分である。ティモカの中では、ウサギ、イコール、獲物、は決定事項で動じる事はないのだろう。



 散歩から帰ると夕食までまだ少し時間がある。ブリジットが聞いてきた。


「ツキヒロ様、散歩で汗もかきましたし、夕食前にお風呂にしますか。それともお風呂は寝る前にしますか」


 食事、お風呂、それとも私。いや、私は無かったか。でも大丈夫。お風呂は、私とお風呂である。子供らしくこう答える。


「お姉ちゃん達とお風呂がいいな」

「はい、じゃあ、みんなで一緒に入りましょうね」

「え、私も一緒でいいのですか」

「ティモカお姉ちゃんも一緒に入ろう」

「分かりました。一緒に入ります」


 ブリジットが湯船の準備をしている間に、俺とティモカは、すっぽんぽんになり、シャワーを浴びる。


「ティモカ、シャワーで軽く流したら、石鹸を良く泡立てて、ツキヒロ様を隅々まで洗って差し上げるのよ」

「はーい。分かりました。ブリジット先輩」

 ティモカは石鹸を手で泡立てる。

「それでは、いきますよ。ツキヒロ様」

 初めてのことで力が入っているようだ。

 それでも、俺の前に正座をし、壊れ物を扱うように、ソフトな手触りで俺の体を洗っていく。

「お待たせしました。ツキヒロ様。私は後ろを洗いますね」

 ブリジットもすっぽんぽんで入ってきて、俺の背中側を洗い始める。

「ティモカ、お尻と前の部分もきちんと洗うのよ。汚れやすいですから入念にね」

「分かりました。この部分やはり女性とは違うのですね」

「そうよ。特にこの頭の部分、皮を剥いて洗ってあげてね。あ、敏感だから優しくよ、優しく」

 ブリジットは膝立ちになり、背中側から手を回し、俺のあそこを剥いて、ティモカに洗うように指示をする。

 背中にブリジットの大きな胸が当たって気持ちがいい。前の方もティモカが優しく刺激するので気持ちいい。

「赤くなっていますが大丈夫でしょうか。それに腫れてきましたけど」

「これくらいなら大丈夫でしょうが、余り酷い様なら舐めてあげてね」

「舐めて大丈夫なのですか」

「傷口を舐めることがあるでしょ。それと一緒よ」

「なるほど、今度酷くなったら舐めて差し上げますからね。ツキヒロ様」

「うん、よろしくね。ティモカお姉ちゃん」

 今度といわず、俺は毎回でもいいのだけれど。


「それじゃ流しますね」

 その後、ブリジット達も自分の体を簡単に洗い、再びシャワーで石鹸を洗い流す。


「はい、湯船に浸かりますよ。ティモカは前に入って」

「分かりました。三人で入るのには少しきついですかね」

「僕は三人で入れて嬉しいよ」

「そうですか、ならよかったです」

 ブリジットが俺を抱っこするように入り、俺の正面に向かい合う形でティモカが入っている。三人の足が交錯し、ティモカのお股は、開けっ広げだ。おまけに後頭部にはブリジットの双丘が心地よい柔らかさを伝えてくる。


「ブリジット先輩、ツキヒロ様の前の方がまた腫れてきたのですが」

「あら、ほんとね。舐めてあげた方がいいかしら。私がツキヒロ様の腰を上げるからティモカ舐めてくれる」

「分かりました」

 これは所謂、潜望鏡なのでは。いや、これはあくまで腫れを鎮める為の行為の筈。そう、医療行為である。


 あッ。熱いお湯の中で。ペロペロ

 いィ。いい気持ちだけれど。ベロベロ

 うッ。うっ血状態。レロレロ

 えゥ。エンドレスで。パックン

 おー。終わりがない。モゴモゴ


「ブリジット先輩大変です」

「どうしたの」

「ツキヒロ様がのぼせたみたいで、意識がありません」

「なんですって。早くあがって、冷たいおしぼりを用意して」


 うーむ。この舌回し堪らん。ティモカ侮りがたし。俺はあまりの気持ちよさに意識を失っていた。


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