第12話 殉職刑事の秘密
しばらくして、飯島捜査一課課長が、何か気づいたらしく江草刑事の肩をポンと叩き、
「ちょっと、談話室へ来ても。江草さん。お疲れさん。」
そして、飯島課長と江草刑事は、談話室へ入った。
飯島課長は、
「江草さんは、たしか警視庁入庁されて15年目でいらっしゃいますね。私は、神奈川県警本部勤務だが、約20年です。今、電話で来藺刑事の捜査内容に驚いてらっしゃったんじゃないでしょうか。実は、来藺刑事は、警察庁のキャリア組で世にも聞かれる腐敗をなくす為に10年前にいらして下さった方です。この事を私と江草刑事とでしまっておきましょう。もちろん今回は、残念でしたし、私個人的にも何度か無理しないように捜査員をつけると何度も催促したんですが。彼、どうしても以前のおそらく警察庁で、職務のミスで同僚の信頼を失い悔いが残らないように何度もやりとげたいと懇願されましてね。」
と言い、窓の外を見つめ泣きそうな表情だった。
そして、さらに
「でも、江草さん。今後我々ももちろん尽力しますし、期待してますよ。江草さんの活躍は、私たち神奈川県警にとっても頼みの綱ですから。まあ、何かございましたら、私にでも気軽にご相談下さい。」
と言い、江草刑事は、
「有難うございます。んーしかし、この事件を。うーん。この事件を必死にあの彼がと思うと、胸が痛いですねえ。彼のためにも、否、私自身のためにもやります。飯島課長、すぐにでも彼のことを教えて下さり有難うございました。失礼します。」
と言い、やや涙目になりそうな顔をはらいのけながら談話室を後にした。
そうこうするうちに、夜遅くなり、江草刑事は、神奈川県警本部を出て、帰路についた。
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