第11部
プロローグ
第419話 プロローグ
読者の皆さま!
いつも読んでいただき、ありがとうございます!
第11部のプロローグを先行投稿したいと思います。
ストックが充分でないため、本格的な再開は2024年1月中旬ぐらいになると思います。
もうしばしお待ちください。m(__)m
本作を引き続き、よろしくお願いいたします!
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――シュポ。
その時。とあるグループチャットにメッセージが届いた。
山脈を背景に漢数字だけが記されたシンプルなアカウントロゴだ。
『弐番/
それには全員が気付いた。
『漆番/うわ。珍しい。
雷雲を背景に漆番のロゴが反応する。
『参番/ええ。確かに』
九尾狐のシルエットの上に参番のロゴも続く。
『伍番/なんだ? 大君の旦那も参加する気なのかい?』
さらに続くのは大きく開いたアギトの上に伍番のロゴ。
『肆番/ふむ。ヌシは群れることを好まぬと思っておったが?』
そう打ち込むのは渦巻く黒穴に肆番のロゴ。
『陸番/順調ですよ。まだ始まっていませんから今からでも参加は大歓迎です』
そう返すのは最初に問われた当人。
シルクハットを被った髑髏。その上に陸の数字のロゴだ。
シュポっとウェルカムのスタンプも押される。
『漆番/男の友情に薄情な
『参番/そうですね。久方ぶりに全員が揃うのも楽しいですわよ』
『伍番/悪りい。マジでここから離れられねえんだよ』
『肆番/同じくだな』
『弐番/すまない。それは俺も同じだ。ただ気になっただけだ』
『漆番/うわあ、野郎どもはやっぱ薄情だぁ……』
嘆きのスタンプが打たれる。
『伍番/だから悪りいって』
『肆番/返す言葉がないな』
『弐番/餓者。本当にすまないな』
『陸番/いえいえ。構いませんよ』
連続で送信。
『陸番/いえいえ。構いませんよ』
『漆番/? なんで二回?』
『陸番/大事なことなので二回打ちました』
『参番/大事なことだったのかしら?』
『陸番/自身を最優先してこそ我々ですから』
『伍番/本音を言えば、面白そうなイベントなんだけどなあ』
『弐番/我霊ではない百年前に存在した男か』
『肆番/ふむ。昔、餓者がよく話していた男よな』
何故か激怒した顔のスタンプ。
『参番/ええ。ガー君が楽しそうに語ってた人ですね。ところで伽藍。もしかして押したかったのはこれですか?』
――シュポ。
遠くを懐かしむスタンプが押される。
『肆番/ああ。すまん。それだ。どうも難しいな』
『漆番/伽藍じいはグルチャに入っているだけマシだよ。最年長者は未だ入らないし』
そう打ち込んで数秒後のことだった。
白地に壱だけが記されたロゴが現れる。
『壱番/「すまぬな。許せ」とのことです』
十数秒ほど、投稿が止まった。
『漆番/え?』
『伍番/おいおい』
『肆番/ふむ?』
『弐番/……これは驚いたな』
『陸番/もしや、祭神さまなのですか?』
チャット越しだが、それぞれ驚いている様子が伝わってくる。
すると、
『参番/代理ですよ。私が招待しました』
『壱番/依姫と申します。天の七座の方々におかれましてはご機嫌麗しく』
そんな説明が入った。
『伍番/ああ。神さまのオキニってことか。初めて聞く名だな』
『肆番/祭神
『弐番/俺もだな。そもそも奴と会ったのも百年ほど前だ。先代の娘も知らん』
『漆番/Uもだよ。この子の名前は知ってたけど、お初だね』
『陸番/同じく吾輩もですな。先々代の巫女とは面識もありましたが』
『参番/依ちゃんは愛らしい子ですよ』
そこで画像が送信される。
十六歳ほどの巫女服を纏う長い黒髪の少女だ。
淡々とした眼差しだが、その顔はとても美麗だった。
ちなみにそんな少女を絶世の美女が後ろから抱きしめている。
『参番/こないだ二人で撮った写真です』
『伍番/相変わらず黒髪ロングが好みなんだな。神さまは』
『壱番/「黒タイツも外せぬ」とのことです』
再び十数秒の沈黙。
『漆番/……え? 待って。それマジで祭神さまの台詞?』
『壱番/巫女ですので。お言葉にせずとも神の御心は分かります』
『伍番/おい、神さま。この娘、代理にしたらアカン子かも知んねえぞ』
『肆番/人の文化には興味も持たぬ祭神
『参番/いえいえ。今のは依ちゃんなりのジョークですよ。流石にあの祭神さまですよ? 平安時代ぐらいのジョークが一番ツボな祭神さまなんですよ』
『弐番/だろうな。仮に奴がそんな台詞を吐くのなら、俺の腹は捩じ切れるな』
『陸番/寡黙な大君が大笑いする姿も想像つきませんが、ともあれ、巫女
『壱番/はい。その通りでございます』
『漆番/じゃあ、これで全員揃ったってことだね!』
『参番/ええ。天座会で全員揃うことはUの悲願だったでしょう? 私の方から依ちゃんも巻き込んで祭神さまに改めてお願いしたの』
『漆番/ありがとう! タマちゃん!』
『伍番/けど、マジで便利な時代だよな。グルチャでも俺らが全員揃うなんて百年前ぐらいなら考えられなかったしな』
『肆番/儂としては操作が難しく苦労が絶えんのだがな』
『弐番/ふん。俺たちの世代差など誤差のようなモノだろう。近代機器が苦手な好々爺のようなふりをするな。伽藍』
『肆番/いや、こればかりはかなり正直な感想なのだが……』
『陸番/まあまあ、よいではありませんか。その機器のおかげで今日は久方ぶりに天の七座が揃った喜ばしい日になったのですから』
『壱番/「すまぬな。餓者」』
依姫が代理となって打つ。
『壱番/「此度のそちの舞台には興が湧いた。されど、機が巡り逢わず余も参加を断念せざるをえなかった。しかし、餓者よ」』
依姫はさらに打つ。
『壱番/「そちの舞台には未だ興味が尽きぬ。余と同じく参加を断念した大君、伽藍眸、牙我王もそうであろう?」』
『弐番/……ふん』
『肆番/それが儂らの存在理由そのものゆえにな』
『伍番/ま、そこは神さまの言う通りだよな』
『漆番/だったら参加しなよ。三人とも。男が男にツンデレしてどうするの』
『参番/あら。それはそれで需要があるのですよ。U』
『伍番/やめろや。時代が多様性とか言ってもやっぱ俺は女がいい』
『肆番/鏖魔性の悪ふざけよな。だが、儂は今、とある組織の総裁になっておってな。抗争中でもあって席が外せんのだ』
『伍番/さっきの続きじゃねえが、俺は女だな。インドにいた千年我霊の女だ。マジでいい女でな。あいつを俺の女にするまでこの国を離れる気はねえ』
『弐番/俺も理由を話しておくか。俺はいま引導師の娘を育てている』
『漆番/え? どういうこと? 大君さん?』
『弐番/中々の強敵だった男の一人娘でな。拾って六年。今年で十六になる。将来、俺を脅かしてくれると考えている。俺にとってはいま最も手を掛けている案件だ』
『壱番/「クハハ。なんと。自ら敵を育てておるのか。大君よ」』
千年我霊の首領が笑う。
『壱番/「それでこそ大君よな。そちはやはり面白い」』
『弐番/……ふん。黙れ
『参番/あら大君。今の時代、身体的特徴を揶揄することはNGですわよ』
『壱番/「構わぬ鏖魔性。余にこのような悪態をついてくれるのも大君のみよ」』
『弐番/相も変わらずの上から目線か。貴様は本当に変わらんな。まあ、いい。それよりも餓者。そういう理由だ。すまんな』
『陸番/構いませんよ。ふふ、これは皆さんに随分と気遣われてしまったようですな。まだ吾輩にも人望があると安堵すべきところですかな?』
『壱番/「クハハ。天の七座の中でも最大の眷属数を誇るそちに人望があることなど疑うまでもなきことであろう」』
首領の楽し気な様子が文字からでも伝わってくる。
『陸番/あり難きお言葉です。祭神さま』
『壱番/「クハハ、さて。餓者よ」』
巫女が仕える神の言葉を打つ。
『壱番/「仮初の場といえ、こうして天の七座が一堂に会した。天の七座が三名も参ずるほどの大舞台。まさに三千神楽よ」』
そうして。
『壱番/「その大いなる全容。余にも教えてくれまいか」』
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