3 動く影と獅子の目
ここの店主は宿に住まいを置いているわけではなく、店を閉めると自宅に帰ってしまうらしい。ちょうどギリギリ店主が閉めてしまう前に二人は宿に駆け込んだ。
部屋に戻った時、壁にかけられた時計は九時を回っていた。ラピスは数字は読めたので時計の読み方はすぐに覚えられた。文字もこのくらいの速さで覚えてくれないものかと、ジルは少し思っていた。
さきほどちょっとしたおさらいをしたがラピスは半分も答えられなかった。これは書くどころか読むのも相当時間がかかりそうだとジルは頭を抱えたのだった。
部屋に帰ってジルが買ってきたパンのようなものに肉や野菜が挟まれたものを食べた。買った店の店員の話によるとこの辺りの昔ながらの料理とのことだった。これもとても美味しかった。ちょっと辛めに味のついた肉が野菜とよく合う。
部屋に戻ってまた腹が満たされたことで、体に入っていた変な力が一気に抜けていったのだろうか。さっきのこともあり、急に眠気がものすごい勢いで襲ってきた。
ラピスはベットの上で座り込んだまま、うとうとと首を前後に揺らしていた。首と一緒に蒼く二つにまとめた髪も揺れている。
ジルは前につんのめってベットから落ちるのではないかと思い見ていたが、そんなことは無かった。ふらふらとしながらも、一応器用にバランスは保っていた。
「寝るならちゃんとして寝なよ。そんなとこで寝たら余計疲れる。」
ジルの声に反応してラピスがこちらを振り返った。その二つの青い目はとろんとまどろんでおり、見ただけで彼女の睡魔がありありと伝わってきた。
ラピスはこくりと億劫そうに頷くと、もそもそとベットの上を這っていき布団を被った。その後ものの数秒足らずで小さな寝息が聞こえてきた。余程疲れていたようだった。
今日この宿にいるのはどうやらジルとラピスの2人だけで、なにも人の気配は感じられなかった。
眠りについたラピスを見て、ジルは部屋に置かれていた質素な椅子に腰掛けた。そして、これからの予定をぼちぼちと考え始めた。
このダウナー街にたどり着くまでは少し長めに滞在しようかと考えていたが、それはやめにした。
いろいろと治安は悪いし、ラピスに単独行動をさせることは難しいので早めにここを立つことにした。しかも水面下で争いの火種が燃えているわけである。別に仕事は探してないので長くいる意味もない。こういう時は巻き込まれないようにするのが鉄則だ。
ジルはそれを見越して、第一の目的地への日数をざっくりと数えた。少し早くなるくらいで、思ってたよりはそんなに変わりはなかった。が、このような街が途中いくつあるかもわからないので、多めに旅の道具を買っておいたがそれも計算し直すと足りるかどうか怪しかった。
一人だったなら多少どうにかなるかもしれなかったが今はラピスがいる。
二人になる以上何かしらの不備は何とかでは済まされないことが増える。金にはまだ余裕があるし、明日追加で買っておいた方がいいかもしれないなと、ジルはテーブルに置かれていたメモに買うものを殴り書いた。
長いことつかわれていなかったのかペンのインクの出が少し悪くかった。線が少々掠れてはいるが読めるので問題は無い。ジルはペンを置いて、壁に掛けられた時計を眺めた。時刻は十時になろうとしていた。
これから北を目指すので道は険しくなるかもしれない。この辺りも特段と暖かい訳ではないがだんだんと進むにつれて冷えていくだろう。
それにラピスがどれだけついてこられるかだ。ダメならその時はその時だろう。と、ジルは思ったが、もしかしたら自分ダメになることもあるかもなと若干自嘲した。
今は人がいつ死んだっておかしくはない時代だ。弱いものは淘汰されていく。その中でも生き残るには強くあり続けるでしかない。
ジルは目を閉じた。
暫く外の通りの騒ぎを遠くで聞いていたが、やがてそれも聞こえなくなり完全な闇が訪れた。
***
どこかで小さくざわめきが聞こえた。
ジルは闇から意識を戻し目を開けて、辺りを見た。自分は椅子に座っていて、そこにはさっきとは変わらない風景がある。変わったのは時計が示す時刻だけで、午前二時半を示していた。
完全に酒場が並ぶ通りも静かになっていた。その静けさに混じって小さな寝息と微かな話し声が聞こえた。何かしらの気配もある。
ジルはもともと眠りが浅いのでなにか物音がすると直ぐに起きることができた。
この部屋は宿のある通りの方に面していて2階だった。その音が聞こえたのは部屋の扉の方ではなく窓からだった。誰が外の通りにいるのだろうか。窓に近づき、閉められたカーテンを少しだけ開けて外を見た。
通りは店もほとんど閉めてしまっていて、真っ暗だった。明かりといえばぽっかりと浮かんだ月が薄く闇を照らしているくらいだ。だから誰かが灯りを持って宿の前に集まっているのはよく目立った。灯りは三つ点っていて、たまにオレンジ色のそれがゆらゆらと揺れた。
聞こえてくる話し声は小さすぎて何を話しているかまではわからなかった。夜中にここに到着した新たな傭兵かなにかだろうか。影の大きさや人数からジルはそう考えた。
真夜中に街への到着というのも、今後の旅の中であるかもしれないなと思い、大して気に止めることも無くジルがカーテンを閉じようとした。
それと同時に下の階から激しい衝撃音が聞こえた。
ジルは驚いて今度はそっとでは無く、容赦なくカーテンを開けた。あの灯りが線を引きながら宿の中に吸い込まれていくのが見えた。
「なんの音だ…………?」
後ろから声がして振り向くと、ラピスが体を起こして目を擦っていた。
異常が起こっているのに、ジルの頭の中は至って冷静であった。
なにか悪いことが起こっても冷静さを欠かなければなんとかなることはある。
「さあな。………考えられるとしたら盗賊か。」
治安が悪いならそんなのがいたって不思議ではない。ジルはカーテンを乱暴に閉めた。
ジルの言葉にラピスの体に妙な緊張が走ったその緊張が完全に頭を覚醒させた。
(戦闘になる。)
さきほどの男たちの件もラピスにとってはいろいろと刺激的であったが、今から起こるのは恐らくそれ以上のものだろう。
直々にそう言われた訳でもないのに、ラピスはベットから降りて立ち上がっていつでも動けるようにしておいた。なぜか妙に手に力が入りにくかった。
そんなラピスを二の次にして、慌てることも無くジルはなにも入っていないように見えるぺちゃんこの鞄をとって中を漁り始めた。
そこからジルは厚い布二つを取り出した。
「これを体に巻いて上着を着ろ。」
ラピスが布を受け取るも、どういうことかわからずジルを見た。彼は上の服をめくって、その傷跡まみれの胴体に布を巻くと紐でしっかりと固定していた。ラピスも同じように服を脱ごうとしたが、ジルに「上着の下でいい。」と言われた。
服の上に布を巻いて、上着を着てみるとなんだか着膨れしたような感じがあった。少しばかり動きづらい。ラピスは少し顔を顰めた。
「ごわごわする。」
違和感を覚え、腹の辺りをぺたぺたと触ってみる。手の触れる感覚がいつもより遠く感じられた。
「我慢しろ、時期に慣れる。そうすれば万が一ナイフとかが刺さっても布の厚みがあるから深手になりにくくなる。死ぬよりはましだろ?」
死ぬよりはまし。
そう言われてラピスは我慢することを決めた。
ジルはまた鞄を漁り始め、そこから何かを取り出して、ラピスの方に荒々しく放り投げた。
「これを持っておけ。一応な。」
それは刃渡り10センチほどの小さなナイフだった。いつもの練習の時に使っているのよりも短い。
「なんで?これがあるのに?」
ラピスが首元のチョーカーを指さした。要は「力の刃」があることを言いたいのだろう。
ジルは首を横に振った。
「たしかにそっちの方が威力もリーチもいい。けど戦闘になるとしたらここの前の廊下か1階の受付だろうな。そんな狭いとこで長いものは振り回しにくいからかえって不利になる。あとナイフはある程度振り回しておくだけでも脅威にはなるしな。なにかあったらとりあえず振り回して逃げろ。」
ジルも懐からナイフを取り出した。いつもの練習で使っている使い込まれたナイフだ。こうしてみると、渡されたナイフよりも柄が大層黒ずんでいるのがわかった。
何かが階段を登ってくる音がした。
2人はいっせいに扉の方を振り向いた。その音はひとつではなく複数であるとわかった。ジルはラピスにベットの影に隠れるよう指示をした。
ジルのあの猛獣のような目とラピスの不安の滲む目が重なった。
ラピス四つん這いになって、物音を立てないようにしてベットの陰へとはっていった。
それに対してジルは扉の横に立った。
壁越しに足音と話し声が聞こえる。足音は別れて、いくつかは上へと階段を登っていき聞こえなくなった。残った足音を聞くに、この階に残った人数は三人と思える。
足音が止まり、話し声が聞こえてきた。ジルは壁に耳を当てて音を聞き取る。
(何かを探している?)
聞こえてくるのは「早く探し出せ。」や「この階でも別れるか。」と言うものだった。
だが、探すとしたら何をだ?
ここは宿だ。金目のものがあるとしたら1階の受付だろう。それに宿主の事務所もそこにある。盗賊ならそこだけを狙って、襲撃を行い足早に立ち去るはずだ。
欲をかいて客の金品を狙おうなら、時期に警備団体なんかのそういったものを呼ばれるだろう。訓練された警備員はそんなそこら辺のごろつきを集めた盗賊なんぞあっという間に取り押さえてしまう。
ジルが今まで知る商店なんかを襲う盗賊はいつもそうだった。短時間でことを済ませて、即座に逃げていくのが大半だった。
こいつらは普通の盗賊ではない。
そうなれば他に思いつくのは人攫いだ。若い女や子供をさらってはそれをどこかの娼婦へと売りつける。
こっちの方が濃厚になってきた。現にそいつらの獲物になりうる連れがいるのだから。
もしかしたら、さっきの騒ぎを聞きつけてラピスに目を付けられたのかもしれない。そうとなれば、明日すぐにこの街を出る必要がある。あるいはどうにか宿主に連絡をつけて朝になる前に街を出るということもあるかもしれない。
どちらにせよ、もうここには居られないとジルは判断した。
奥に向かっていく足音が二つ聞こえた。それから遅れて、ゆっくりとした足音が聞こえ始めた。
ジルは懐のナイフに手を触れた。
足音はラピスにも聞こえていた。足音が近づく度に、鼓動の音がどんどん大きくなっていく。
ラピスはぎゅっと身を丸めて頭に響く鼓動を振り払うように息を潜めた。今自分にできることはこれしかないのだから、それに徹するしかない。
不意に足音が止まる。ジルは耳を済ますのを辞め、横のドアに意識を集中させるのと同時に自分を鎮める。
ドアノブがガチャりと音を立てて回る。ジルにはその光景が異常なほどゆっくりに見えた。
扉が開いて廊下の灯りが漏れてくるのと同時にジルは入ってきた男に向かって飛びかかった。そして、男の首めがけてナイフを振るった。
毛布を叩いたようなくぐもった音がして、入ってきた男は首の中心あたりに鈍い痛みと強い衝撃と感じた。
ジルはナイフを鞘から抜いていなかった。今から逃げることになるなら、血で汚れるのは酷く目立つ。それに殺さなければ大したことにはならない。
とはいえ、ジルが狙った場所は下手したら喉がダメになる喉仏のところだった。ここも人の急所である。
瞬く間に息が詰まり、男はその場にひっくり返った。ジルは男が気絶していることを確認して廊下に出る。ベットの影からラピスがこちらを見ていたがその場に留まるように合図した。
「何だ!?」
倒れた時に結構大きな音がしたので、他の男たちがジルに気づいた。部屋から飛び出してきてジルと泡を吹いて倒れている男を見た。
その瞬間男たちが短剣を抜いた。その短剣は普通のものより刃が広く重厚感があった。ああいう刃物は生身で受ければ、肉どころか骨まで断たれてしまう恐れがある。
ジルはそう思い、さすがにナイフを鞘から抜かずにはいられなかった。
さっきのは運よく首元を狙えたが、この二人は人の大事なところである首や手首にきちんと布を厚く巻いてある。ナイフでは十分な傷は与えられないだろう。かといってこんな狭い廊下で自分の身長と同じくらいの長さの薙刀を振り回す気にはなれなかった。
ジルがナイフを抜いたのを見ると、男たちはすかさず短剣をジルに向かって振りかぶった。最初に飛んできた刃をナイフで受け止める。強く、重い衝撃がナイフを伝って腕に走った。短剣を弾き飛ばした時、まだ指先があの衝撃で痺れていた。
その指先をいたわる暇もなく、別の男の短剣が横から繰り出される。ジルは今度はナイフで受け止めずに身を捻って刃を躱した。
一度受け止めた時にあの短剣は重たい作りの威力重視のものであると判断した。そんなものはナイフでいちいち受け止めていればナイフが使えなくなってしまう。現にナイフは少し欠けてしまっていた。
魔力を纏わせてあって強度は多少上がっていても、そんなことは傭兵の世界では当たり前だ。あの短剣にも魔力は纏わせてあると断言してもいい。
男たちはジルのナイフが欠けたのをを察したのか、すかさずどんどん切り込んでくる。
ジルは数でも武器でも不利な状態に立たされていた。反撃しようと隙を探すも、見つけた隙を埋めるようにもう一人の刃が飛んでくる。刃を受け止めることも出来ずに、ジルはただひたすら斬撃の間を縫うように躱していた。目の前の光る刃にだけに意識を置く。短剣が空を斬る音も鮮明に聞こえ始める。
だか、ジルはなにも考えずに躱している訳では無かった。相当重い刃物を振るうのはそれだけ体力を消費する。そんなものを振るい続けるとどうだろうか。人の体力も無限に湧いてくる訳ではない。
男たちは焦っていた。相手がナイフで短剣を受け止めるのを早々に辞めたのを見て、しめたとばかりに次から次へと短剣を振るった。いつもなら避け着れなくなったところ見計らい、そこに痛い一撃をお見舞するのが男たちのやり口だった。
だが、斬撃は未だに一撃も掠りもしていない。目の前のショッキングピンクの髪の男はまるでこちらの動きを何手先も見通しているかのように、軽々と斬撃の間をすり抜けていく。
その鮮やかで伸びのある動きから、明らかなジルとの実力の差というものが目に見えた。背中に冷たい汗が伝う。男たちはここまで圧倒的な実力というものを感じたのは初めてだった。
男が短剣をまたジルにめがけて振るった。だが、腕が思うように上がらない。特に躱したわけでもないのに、短剣は大きくジルを逸れた。
ジルはこれを待っていたと言わんばかりに、一気に男との間合いを詰めた。そして、男の右腕の肘の少し上に向かってナイフを突いた。さくりと皮膚が破け肉を抉る感覚が手に伝わる。男が痛みに顔を歪ませ、呻き声を上げた。それと同時に横から空を斬る音が聞こえ、ジルはすぐに男から離れる。先程ジルがいた場所に短剣が振り下ろされた。
男の右腕からは真っ赤な血が滴り落ちている。腕に力が入らなくなり、男の手から短剣がごとりと重たい音を立てて滑り落ちた。
男は反対の手で短剣を拾おうとするも、短剣は大きく弾け飛び、男の手が届かない所まで飛んで言ってしまった。ジルが短剣を蹴り飛ばしたのだ。重たいものなので思ったより近くに落ちてしまったが、男と引き離すことができたので良しとした。
武器が無くなり、腕が一本使えなくなったので男は戦うことができなくなった。数の有利を無くされ、残った男はたじろいた。
男がジルと目が会った時、ジルはどうしたと言わんばかりににやりと笑った。
男は一瞬腹の底に馬鹿にされた怒りの火が沸いたが、すぐにその火は冷水をかけられたように静まってしまった。
ジルの目を見たからだ。彼の目はまるで今から闘技場にはなたれようと、戦場に身を投じようと言わんばかりの獅子のような強い爛々とした闘士が宿っていた。煽っておきながらも、目はどんな相手であっても容赦しない。猛獣そのものだった。
ジルが1歩前に踏み出した。男の体に力が入る。だが、いつもよりも強く力が入ってしまって体が硬かった。男も踏み込んでジルに向かって短剣を振るうも、彼は地面を蹴って軽々と避けられてしまう。男は疲れが溜まって荒く息をしながらジルが避けた先に顔を向けた。気づいた時には白い刃が目の前にあった。
ヒュッという音と共に顔面に冷たい刃物の温度と遅れて焼け付くような痛みがやってくる。男は顔の右頬から鼻を通って目の上あたりを切られていた。
人は頭に近い傷ほど強く痛むのだ。男は呻き声をあげて顔を押さえた。押さえた手の間から鮮血が漏れ出す。男が悶えている隙にジルは鳩尾に向かって蹴りを飛ばした。男は2、3メートルほど吹っ飛んで仰向けに倒れた。ジルは近寄って男が気絶していることを確認した。
後ろで荒い呼吸が聞こえる。ジルが後ろを振り向くと、腕を負傷した男が反対の手で短剣を握っていた。あれだけの隙を作っておけば向こうも馬鹿ではないだろう。
拾われるのは想定済みだった。焦ることなくそいつの相手をするのみだ。
男が唸り声をあげて短剣を振りおろす。大きく空を裂く音がする。ジルは身をひねってそれを躱す。
疲れや腕の痛みにより集中をそがれ、しかも利き腕でない腕で短剣を振るっているので軌道は安定しない。ジルが避けずとも大きく逸れることも増えた。
男の短剣が空を切る。その直後にジルは踏み込み男の懐に飛び込んだ。男はあまりにもの速さに反応ができなかった。ジルのナイフが男の首に巻いている布を突き破りその喉に食いこもうとした。
突如狭い廊下に大きく短い衝撃音が響く。ジルのナイフは布を裂いただけに留まった。直ぐにナイフを手に取り、男と距離をとる。
男は死を覚悟したのだろうか、一気に体の力が抜けてその場に座り込んだ。顔が冷たくなり、変な汗が吹き出した。
さっきの衝撃音は銃声だ。ラピスもベットの影から出てきて廊下のすぐ前に立っていた。
ジルがナイフを持ったまま音のした方を見ると、何人もの男を連れた、恰幅のいい中年の男が立っていた。拳銃を上に掲げて持っている。その拳銃からは白い煙があがっていた。
ジルとその男の目が重なる。
「…………まさに、闘技場の獅子のような目だな。」
中年の男の口角が僅かに上がる。ジルは顔色を変えることなくただ男を見ていた。
中年の男が床に座り込む男や、伸びている男を見下ろした。座り込んでいる男の目が揺れる。
「その男たちをやったのはお前か?」
ジルは黙って頷いた。未だに眉一つと動かさずにいた。男はラピスにも気づいていたのか、そちらを一瞥した。一瞥されただけなのにラピスの体が強ばった。
中年の男は少し何何かを考えた後、口を開いた。
「話がある。そこの娘も連れて俺に着いてこい。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます