第48話 潜入捜査_3

 彼は俺の条件を呑んだ。

「それじゃ、僕が《能力》について知っていることを話そう。《能力》とは、《能力者》の脳から発せられるνニュー波が起こす現象のことだ。そのν波の波形や周波数によってその人の能力が異なるらしいんだ」

「何でそのν波を発すると《能力》を扱えるようになるんだ?」

「これは、僕の推測なんだがな。そのν波が自然現象に影響を与えているんだと思うんだがな。あと、その人の過去によってその人の能力が異なってくるんだと考えられると思う。気になっていたんだが、なんでそんなことを聞くんだ?」



 俺は、今まであった経緯を彼に話した。

「――――というわけなんだ。だから、俺は《能力》のメカニズムを知りたい。それで、もう二度と俺の仲間と同じような目に遭わせたくないんだ。《能力》は人の生理的な反応だというのなら、治すことが出来るのかもしれない。不幸な目に遭った《能力者》を助けることが出来るかもしれないから」


 ――――沈黙。


「そっか。それなら、協力出来ることが結構あるかもしれない」

「そ、それじゃ……」


 彼は力強い目で俺を見つめ、頷く。

「そうだ。僕はキーを探す手伝いを君にしてもらう。逆に、僕は《能力》の謎を君と一緒に手伝う。それで良いかな?」

「うん」


 これで俺の目的に一歩近づくことができた。

 ……はず。


「で、そのキーってやつはどこから行くんだ?」

「分からない。この島のどこかにいるということぐらいしか……」

 役に立たないな。

 こいつ。


「分かった。取り敢えずここから脱出をしよう」

 彼の手を握って瞬間移動テレポートを使い、檻の外に出た。


「な、何だこれ!? 瞬間移動なのか?」

「ああ。そうだ。君たち第二世代では到底到達することの出来ない能力だ。まぁ。この能力は俺の仲間の能力なんだけどな」

「どういうことだ?」


「この瞬間移動テレポートの能力は俺の仲間の能力なんだ。でも、軍事利用をされたわけなんだ。この手袋みたいに」

 そう言って、右手を差し出す。


「つまり、瞬間移動テレポートの能力を機械化させたわけか?」

「まぁ、そういうことだ。信じにくいことだとは思うけどな」

「いや。信じるよ。能力の兵器化か……。科学技術に優れる地上都市だからこそ出来ることだな。取り敢えず、この中から脱出しないと」

「そうだな」

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