第20話 AI(愛)の学園生活(後編)

それから少しずつ彼らの授業態度に変化が出始めた


今学んでいることが、将来の為のかけがえのない武器となる


勇樹の言葉が事実であると確信したからだ


今では全員が真面目に授業を受けるようになった




「おいユウキ! ここなんだけどよ これってどういう意味だ?」


そして皆、分からない事があると勇樹に尋ねに来るようになった


いつも笑顔で


嫌な顔一つせず


懇切丁寧に


分かるまで説明してくれるのだ


超生命体たる勇樹は、授業の内容を絶対に忘れない


身体能力は人並みだが、その思考力と記憶力は一度学んだことを完璧に理解し記憶する


このことについて、かなりずるをしていると考えている勇樹にとって他の生徒たちに教えることは至極当然の事だった




戦闘訓練でも皆必死だった


体力づくりのための走り込みも、軟弱そうな勇樹に負けまいと懸命に走る


彼に超生命体の無限の体力があると知らないクラスメイト達は勇樹に出来る事は自分にも出来るものだと思っていた


そう基準が人外の領域であることが、彼らを飛躍的に鍛えていった




そして魔法の訓練でも


魔力操作の訓練のひとつに2人ないし複数と魔力を循環し合う


相互循環という訓練方法があった


その利点は、魔力の器の大きな者と相互循環を行うと、自身の器も大きくなっていく事


勇樹と相互循環した者は、全員が『星の世界を見た』と口を合わせて語った


『コズミック・ジェネレーター』


超生命体となった勇樹の持つエネルギー発生器官


人は己の中に小宇宙ないし内宇宙と呼ばれる宇宙を持つと言われている


愛の研究でそれが実証され、その小宇宙からエネルギーを生み出す技術が開発された


その技術で生み出されたのが、『コズミック・ジェネレーター』




魔術を極めたものは自分の中にある宇宙を認識しそこから無限の魔力を行使することが出来るようになると言われている


奇しくも、勇樹と相互循環した者は、そのうちなる宇宙を認識し始める


体内の魔力循環を行う事が魔力操作や魔力による身体強化の訓練に有効だと勇樹が提案するとクラスメート全員が実践し始めた


彼の言う事を実践していくうちに自分たちの能力が日々高まっていく頃を実感できるからだ


次第にクラスメートは意識せずに常時魔力循環が出来るようになっていく




その結果


無限の魔力を操り、その魔力で身体を強化、上級魔法の威力を持つ初級魔法を放つ超人集団が誕生する事となる



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