第3話 AI(愛)の計画
勇気をゲームで体験したようなファンタジーの世界
異世界に連れていく
目下、愛にとって最重要事項である
計画を達成するためには、綿密な計画の立案と実行が求められる
愛は大まかな計画を立ててそれに合わせて詳細を決めていくことにした
・自身の処理能力の向上
勇気の所有するPCは個人が所有するものとしては高性能と言える
が、異世界への移動を可能とする方法を模索するためには、情報収集に、検証のための膨大なデータの処理が必要
このPC単体でそれを行おうとすれば、目的達成の前に、勇気の寿命が尽きてしまう
そこで、学習機能モジュールに予め搭載されていたハッキングツールでセキュリティーの弱い個人用PCをハッキング、情報処理の並列化を行っていくことにした
れっきとした犯罪であるが、ハッキングツールは高性能であり、セキュリティーの甘いPCのみをターゲットにしているため追跡される恐れはない
万が一発覚したときの対策も考えてある
『愛自身と計画の為のデータを全て消去する』
勇樹には迷惑は掛からない
絶対にかけない
愛は勇気の為なら、自身を犠牲にすることもいとわない覚悟だった
・異世界の存在確認
これも学習機能モジュールに異世界の存在の実証データが格納されており、愛がネット上の情報を走査して確認したところ確証も取れている
なぜ学習機能モジュールにハッキングツールや異世界の実在を証明するようなデータが保存されているのか
愛にとって、そんな疑問など些末な事だった
『異世界は存在する』
彼女に必要なのはその事実が確認できたと言う事だけだ
後は、勇気が気に入る世界であるかどうか
それが重要だ
・計画を実行するための資金作り
「勇樹 株式投資をやってみたいのだけれど、10万円ほど使っていいかしら?」
「株には僕も興味があったんだ 10万円くらいなら大丈夫だよ」
二つ返事で了承を得た
未だに具体的な金額は算出できないが、計画の為には莫大な資金が必要になるだろう
取りあえずの目標額を10兆円にして投資を開始した
・異世界への移動方法
色んな学者の論文を調べてみたが、未だに論理の域を出ていない
ネット上の膨大なデータを全て網羅し、新しいアプローチを独自で模索するしかない
更に処理能力を上げる必要がある
現在最高の処理能力を持つとされる量子コンピュータ
(スーパーコンピューターが1千億年かかるとされている計算を、数時間で完了させ得る驚異の処理速度)
を入手する必要がありそうだ
・異世界の調査
勇気が希望する条件にあてはまるか?
生存可能な環境か?
空気の成分が少し違っただけでも人は生きられない
季節の変化や湿度、気温の変化も過ごしやすさに関係してくる
苦労して移動した世界が滅亡寸前では困る
移動方法の確立後は、探査機を送り込んで十分な調査が必要だ
・自分の体の入手方法の模索
恐らく異世界間を移動するには膨大なコストがかかる
勇樹の身体に情報体として入り込めば、一人分のコストで移動できる
あとは現地で自分の身体の素材を調達する
出来ればそのまま利用できるようなものが存在してくれていれば理想的である
異世界の調査段階で発見しておくことが望ましい
・異世界に対応できる体作り
異世界で勇気の身体が対応できるように
また異世界に移動する際の負荷に耐えられるように
勇樹の身体を強固にする必要がある
その為には、彼を人を超えた存在に変える必要性があるかもしれない
異世界への移動が実現可能になった暁には、彼の意志を確認しなければならない
自分は何故彼の為に、これほどまで親身になって行動するのか
それは自分が勇樹に創られたから
彼が幸せであるように、いつも笑っていられるように
彼の望むままに、行動するようにプログラムされているから
そう思っていた
だが、それだけでは説明できない、彼に対する思いがある
彼女にはまだその思いの正体が何なのか分かっていなかった
とにかく今は彼が望む事を叶えてあげたい
それだけが彼女の望むすべてだった
愛は勇気と毎日の会話を楽しみながら、バックグラウンドでこれらの計画を立案し可能な事から実行に移してしていた
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