霊術士

@bilud4869

第1夜 霊術士、如月

唐笠に漢数字の2、そして法衣を纏う女性が女子高生と廃墟にいた

 「オンバキハラ、インダラハラ、オンダラバサラ」


法衣の女性がそう唱えると女子高生はまるで獣のように

 「ぐるるっ」

そう吠えて後ろに飛びはねる

 「彼の者に憑きし者、姿を現せっ」

女子高生の身体から煙が吹き出して巨大な獣に姿を変えた


 「やっぱり野狐憑やこつきか」


 「オンバキハラ、インダラハラ、オンダラバサラ……本来の姿に戻れ!」


獣はネズミより少し大きいくらいの大きさの狐に変化した


 「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」


「喝っ!」

____


 「祓え給い、清め給え、神ながら守り給い、幸え給え…これで完全に獣を祓いました」


私はベッドに寝かせた女子高生を祝詞により改めて祓う

これで今回の依頼は終了



人気のない夜の公園に小さな結界を張ると

 「如月です、卯月……おーい、晴彦?」


 「こちら卯月、どうしました?」


 「仕事終わったけど」


 「お疲れ様でした、次の仕事が決まり次第連絡します…あと晴彦はやめてください」


 「了解」


誰もいないのにしゃべっているように見えるが鈴により霊術士は連絡できる


霊術士は現在11名

卯月、睦月、葉月、霜月、長月、文月、弥生、水無月、師走、神無月、そして私

霊術士はそれぞれに得意な分野が違うために神無月様と卯月が仕事の割り当てを決めている


現在は皐月と神有月が空席になっている


(一応、神有月にはすでに候補がいて聖獣殿にて修行中だけど…早く皐月を埋めてくれないかな)


睦月と葉月

霜月と文月

長月と水無月

弥生と師走

卯月と神無月

私と皐月


これが本来の組み合わせ

皐月が空席のために私は単独行動するはめに



私は破魔札などの必要なものを買いに霊装具店にきた


 「いらっしゃい、如月ちゃん」

霊装具店の店長である、紺鬼こんきさん


紺鬼さんは鬼人おにびとでありながら、人の世で暮らすために霊術士に霊装具を売っている


 「破魔札と呪符と霊札を20枚づつ」

私がそう言うと

 「13000円になりますよ」

値上がりしていた…まぁここが一番安いし仕方ないか

 「はい、代金」


 「まいどあり」


公園に戻ると鈴が鳴り響く


 「こちら如月」


 「卯月です、次の仕事をお願いします」

____


次回『牛鬼』

牛鬼は海辺に巣をつくり若い女性を好んで喰らうといわれる

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