愛故ノ

篠宮

第1話


「もう、終わりにしよう。…俺らは合わないんじゃないか?」



そう、彼に言われた途端、俺の目の前は真っ暗になった。

そうか、彼はもう俺に愛想尽きていたのか。


上手く言葉が紡げない。声が、喉につっかえている。俺はなんて返事を返せばいい?

いつから…いつから彼はそう思っていた…?俺の知らない所で彼の心は揺らいでいたのか。

俺は……どうすればいい?貴方はどんな言葉を望んでいるのか、それさえも、もう分からない。


……俺は何を迷っているんだ。彼が、俺がたった一人、愛した人がそう、告げたんだ。受け入れないでどうする。


必死に平静を保とうとする。小さく、深呼吸をして…そして、俺は返事を返した。


「そうだな。もう、終わりにしようか。」



その日は1日中泣きじゃくった。俺が何かしたのだろうか。俺に魅力が無かったのか。そもそも男同士の恋愛が、彼にとって重たかったのだろうか。

考える程に俺は俺を悩ませる。


ああそう言えば、明日は彼を含めた友人と、会う約束してるんだっけ。どんな顔をして居ればいいんだろう。どんな会話をすればいいだろう。


迎えた当日。俺は…いや、俺達は何事も無かったかのように振舞ったのだった。

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愛故ノ 篠宮 @shino_27

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