N...prohibition
床町宇梨穂
N...prohibition
僕にはひとつ年上の彼女がいた。
彼女にはひとまわり上の旦那がいた。
僕は22だった。
彼女は31だった。
僕は独身だった。
彼女には15になる息子がいた。
二人が恋に落ちる可能性なんてゼロに等しい。
でも僕達は寝た。
初めての夜は初めてのデート。
どちらかが誘うわけでもなく、ホテルに行った。
僕は彼女の旦那に嫉妬はしなかったし、彼女も僕の彼女に嫉妬はしなかった。
平日の昼間に僕のアパートで会ったり、彼女の旦那が仕事で遅い時に会った。
彼女のセックスはとても貪欲だった。
時には僕の背中を傷だらけにした。
彼女にとって初めての不倫。
そんな罪悪感が彼女に火をつけたのかもしれない。
彼女の熱が上がれば上がるほど僕は冷めていった。
そして彼女が離婚を口にしたとき、僕は完全に冷めきってしまった。
若いツバメ。
割り切った関係。
非精神的付き合い。
それ以上でも、それ以下でもない。
どちらかがその枠からはみ出してしまったら、この様な関係は終わりだ。
彼女は行き過ぎてしまった。
泣いている彼女を見て僕は本当に女が怖くなった。
良識のある大人の女が、若い男のためにすべてを捨てようとする。
そこには何の打算もなく、ただ本能に従っているだけだ。
僕が女の人を少し横から見るようになったのはこの時からかもしれない。
あれからもう五年が過ぎようとしているが、相変わらず僕は女の人を少しだけ横から見ている。
N...prohibition 床町宇梨穂 @tokomachiuriho
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます