第34話 ブラッド・ロイヤル
「ゴメン、、、。俺の手錠取って、、、。」
「はぁ!?良くこんな状況でそんな事言えるわね!!バカ!!」
バラライカは怒ってしまった。手錠の真ん中の鎖の部分を近くにあったSIG P229で撃った。鎖が外れる。
「バラライカッ!!」
「ちょ、、、アンタ、、、!!」
シャドウはバラライカに抱き着いた。
「ゴメン、、、ゴメン、、、。」
シャドウはしっかり彼女を抱きしめた。彼女の匂いが鼻を通り抜け、彼女の身体の柔らかさを身体全体で感じた。
「―――もう君のそばから消えたりなんかしない。」
シャドウは小声でバラライカの耳元でそう囁いた。
「―――アンタと一緒ならシベリアでもラーゲリでも地獄でも一緒に付いていくわよ、、、。」
バラライカもシャドウの耳元でそう囁いた。
『おい!壁から離れろ!吹っ飛ぶぞ!!』
外からヘリの音とプライスの声が聞こえた。
「離れようか。」
「そうね。」
シャドウとバラライカは壁から離れる。
離れてから直ぐに壁が爆発。土埃と爆発の煙がモクモクと出ていた。
壁には大きな穴が開いていた。
「アンタバカなんじゃ無いの!?もう少しで私たちも吹き飛ばされてたわよ!!」
ギリギリで爆発を免れたバラライカがプライスにキレる。
「悪い悪い!興奮を抑えられなかった!」
プライスが笑いながらC4爆薬のスイッチをカチカチさせる。奥の方にはヴェノムが見えた。そして、ヴェノムの扉が開く。
「生きてやがったか。クソッたれ。」
ヴェノムの中にはリーパーが居た。
「リーパー!」
シャドウはリーパーの所に駆け寄っていった。それにバラライカも付いて行く。
「何よ!結局来たんじゃない!」
バラライカがリーパーの胸倉を掴む。
「誰がお前なんか助けるか。こっちはプライスと趣味の狩りに来ただけだ。」
リーパーはバラライカの手を自分の胸倉から離す。
「ありがとうリーパー。お前には返せない程の恩が出来ちまったみたいだな。」
シャドウがリーパーの手を掴む。
「お前達を助けようと思った訳では無い。こっちは趣味でここに来ただけだ。」
リーパーはシャドウの手を払った。
「ハハハ、流石リーパーだよ。そういう飾らないトコが良い。」
そう言ってシャドウはヴェノムに乗り込んだ。
「フン!あれ位、私でも楽に倒せたわよ!」
「寝言は寝て言え。」
バラライカはリーパーに皮肉を言ってからヴェノムに乗り込んだ。
「おいおい!俺にも何か言ってくれよ!」
プライスも遅れてやって来た。そして、ヴェノムに乗り込むと、扉を閉めた。
こうして、4人を乗せたヴェノムは大空へと羽ばたいていったのだった。
「さて、この後も仕事だ。ここまで来たならもう殺しちまおうぜ。女王陛下をよ。」
リーパーはバラライカとシャドウにそう言った。バラライカとシャドウは身を引き締める。
「残念ながら俺は別の仕事があってな。お前達2人でやってもらう。」
リーパーはシャドウとバラライカにM4A1を1丁ずつとSIG P229を渡した。
「あ、そうだ。あのボロマンション漁ってたら、面白いモンを見つけてな。ほら、やるよ。」
プライスはシャドウに細長い物を渡す。
「あぁ、あったのか!鬼影冷血!」
なんと、プライスはシャドウの相棒―――鬼影冷血を見つけていたのだ。
「さぁ、これで準備は出来たな。お2人さん。」
プライスはバラライカとシャドウに親指を立てた。
「あぁ、ありがとう。リーパー、プライス。」
「今の私達には敵無しよ!!」
2人は自信満々だ。
―――恋は乙女の力の源、、、か。俺には理解出来んよ。
リーパーはそんな2人を見ながらそんな事を感じた。
「あぁ、そうだ。目標の居場所が割れた。お前のインターフェースに送っておく。」
プライスが自分の端末を構いながらそう言った。
「おぉ、よく割れたな。」
「敵のスマホ奪ってヤツに電話掛けて探知機に掛けた。GPSですぐに情報が割れた。」
プライスは誇らしげに奪ったスマホと機械を見せつけてきた。
『リーパー。もう直ぐ目標の近くです。降下準備を。』
コリブリがそう言うと、リーパーは装備の確認をした。すると、リーパーはヴェノムの座席の後ろに置いてあった携帯型対戦車ミサイルジャベリンを担ぎ上げ、自分の身体に掛ける。
「そ、そんな物持って何するんだ!?」
「アンタバカぁ!?」
シャドウとバラライカは不思議そうにリーパーを見る。
「コイツぁ、面白いモンが見れそうだな。リーパー。俺も見たかった。」
プライスはジャベリンを見て、興奮している。しかし、見れない事に残念そうな顔もしていた。
「すまないな。お前にはロンドン脱出の支援を現地IRAとしてもらう。じゃないと帰れない。」
「分かってる分かってる。」
そう言って、ラぺリング降下の準備を始める。プライスも一緒に降りる様だ。
「じゃあな、女王陛下をもてなしてこい。」
「あぁ。分かった。」
「もちろんよ!」
そう言い残して、リーパーとプライスはロンドンに降りていった。
シャドウが扉を閉め、ヴェノムはロンドンから去っていった。
ロンドン郊外、ウィンザー城。女王陛下は終末、ここで過ごす。
今日はロイヤルファミリーの皇太子夫妻と女王陛下、王配もいた。
「ロイヤルファミリーの皆さん。こんにちは。」
ロイヤルファミリーがくつろいでいる豪華な部屋に、シャドウとバラライカは盛大に入ってきた。
「な、何なんですか?あなた達は。」
女王陛下は冷静にシャドウとバラライカに対処する。しかし、その足は震えていた。他のロイヤルファミリーは腰を抜かして全く動くことが出来無くなっていた。
「あぁ、外の方々には任務を終了していただきましたよ。今はお休みの様ですね。血が出てますけど。」
女王陛下はシャドウの足元を見る。すると、大量の血液が床にべったりと付いていた。
「な、何しに来たのかしら?」
「あぁ、そう。その件なのですが―――。」
シャドウは鞘から鬼影冷血を引く抜く。白銀の刃が、シャンデリアの光を反射する。
「死ね。クズ一族が。」
シャドウは先ず、皇太子夫妻を腹から2つにした。大量の血と共に、内臓がグチャグチャと出てくる。
「た、助けてくれぇええ!」
王配が逃げようとするが、バラライカが脚をM4A1で撃って見動きが取れなくなった。
「残念だったな。恐怖に溺れて死ね。」
シャドウは顔に刃を入れて斬ろうとしたが頭蓋骨に当たって斬れなかった為、仕方が無く心臓を刺して、刃を下腹部の方へ走らせて、胴体を開いた。中を覗くとピンク色の内臓がしっかりと見える。アレは大腸であろうか。ブツブツと斬れている。
「さぁ、お楽しみのあなただ。どこを斬られて死にたい?」
血で汚れた鬼影冷血の刃を女王陛下に向けると、女王陛下は泣きながら命乞いをした。
「そうか。じゃあ、一番苦しい死に方をプレゼントしよう。」
シャドウは女王の喉元に刃で切れ込みを入れてから、アキレス腱を斬った。
「あぁ、、、あぁぁぁ、、ぁぁああああ!!」
「苦しもがいて死ぬんだな。行こうか?バラライカ。」
そう言ってシャドウは部屋を出た。
数分後、様子を見に来た王室関係者によりこの残酷な現場は発見された。
女王陛下以外は出血性ショックで。女王陛下は窒息死で亡くなった。
このニュースはすぐさま報道され、イギリス全土は悲しみに包まれた。
警察とSIS、イギリス軍は総力を挙げて犯人を探した。残念ながら証拠は存在しなかった。しかし、IRAが犯行声明を発表。イギリスはIRAに対して宣戦布告を行った。そして、王位継承権は王子に与えられた。これが後のブラッド・ロイヤル事件である。
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