第6話 賢治とルナのステータス

 モフモフが終わりルナが家の案内をしてくれると言うので、素直に案内されている賢治。

(最初に案内するのが寝室って…深い意味はなくて煙の行き先を聞いたから案内してくれたみたいだが)


 寝室は台所のとなりにあり、あの煙は穴を通じてベッドの下から噴出している。

 ベッドは大人3人が余裕で寝られるほど広いが、石造りでマットレスの代わりに枯葉が敷いてあった。

「あの煙はね魔法で変質させて殺虫効果のある煙にしてるの。それでベッドの下からモワモワーって出して、駆虫殺菌に使ってるの!」


「ルナは凄いなー。色んな事が出来るんだなー」

 撫で撫で撫で撫で撫で撫で撫で撫で撫で撫で。

「えへへー」

 これまで寂しい思いをしてきたであろう幼女に、少しでも取り戻してあげたいと無自覚に賢治はコミュニケーション過多になっている。


「それでねそれでね、ルナね。昨日またレベルが上がったんだよ!」

 賢治に褒められて撫でられて、ルナは案内も忘れてもっと褒められたいと自慢する。

「どうやって調べたんだ?」

 賢治の認識ではステータスを調べるには、探索者ギルドに設置してある高価なステータスオーブが必要になる。

(ステータスオーブを必要としないで、ステータスを見る方法があるのだろうか?)


「何年か前にね、ステータスオーブを拾ったの。木の残骸と壊れた車輪があったから、輸送中にモンスターに襲われたんじゃないかな?」

「そっかー、それでルナはステータスオーブを拾ってステータスが見られるのかー」

「うん!ちょっと待ってて、今でも持ってくるから!」


 蓋のない石の箱に走り、直径30センチほどの水晶球にも似た物を持って帰ってくるルナ。

 ピカピカながらも適度に摩擦のある床面を裸足で走り。転ぶ事なく賢治元までステータスオーブを運ぶ。

 賢治とっても見慣れた透明な球体をルナが持って来た。

「見てて、これがルナのステータスなの!」

 手に持ったステータスオーブに魔力を流し込み、空中に自分のステータスを表示させていく。



 ルナ 8歳 女

 無職 レベル396

 生命 999999999999

 魔力 999999999999

 筋力 999999999999

 耐久 999999999999

 俊敏 999999999999

 知性 999999999999

 精神 999999999999

 幸運 999999999999

 スキル 神殺し 神狼化 狩猟戦闘術 火魔法 水魔法 土魔法 風魔法 光魔法 探知 隠形 物理耐性極大 魔法耐性極大 全属性耐性極大 全状態異常無効


 ゴシゴシ。

 目を擦り再び確認する。

 ナニコノ、ごっどすてーたす…

 全部が1兆手前で揃ってる。カンストして表示しきれなくなったとか?

 それにレベルも100が上限じゃなかったのか?


「どう?ルナ凄いでしょ!?」

 喜色満面の笑みでルナが問いかける。

 賢治も気を取り直してルナを褒めまくる。

「凄いぞルナ!こんなに強かったら、向かう所敵無しだな!」

 撫で撫で撫で撫で撫で撫で撫で撫で撫で撫で。

「えへへー」



 しばらく撫でているとルナが落ち着いたので、賢治は自分のステータスも見てみる。



 忍野賢治 14歳 男

 忍賢者 レベル101

 生命 1275

 魔力   00

 筋力 2024

 耐久 1033

 俊敏 4751

 知性 3969

 精神 3878

 幸運   00

 スキル 初級忍術 初級魔法 異世界転移 DC


(ナンカ色々変更サレテルノー…)

 まず年齢が若返り、職業が斥候戦士から忍賢者になり。レベルが100を突破している。

 ステータスも術師寄りなのに、魔力0で幸運も0。


(異世界転移ってのはメタリカのダンジョンから、こっち…名前なんだっけ?まあ、異世界であるこっちに来て身に付いたスキルだろうな。それにしても、このDCって何?ダイヤモンドカッター?土壇場キャンセル?)


 色々とツッコミところが満載のステータスだったが、賢治が何より気になったのは年齢。

「14歳ってなんだよ!?8歳も若返ってるじゃんか、俺!!」

(今思えば服や靴がブカブカだったのも、若返って体が縮んだからなのか…)

「賢治様、凄い弱いね…」

「グハッ!!」

 元フェンリル系のモンスター相手とは言え、幼女にザコ扱いされ。賢治の心には多大なるダメージが与えられた。

 辛うじて四つん這いになるのは耐えたが、しばらくは中2病並に心に残る事だろう。

 賢治が平静を装って立ち直るまでに、かなりの時間を要した。

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