アイデアの溜まり場

のーつ

世界創成記

世界創成記 -前にも書いた創作神話の残りカス-

第二章 : 第一節

 

第一話 アスモデウスの刻印


 鍛冶師アスモデウスは普段朝から晩まで金づちや鍋を作っている。

ある時、神聖教会の者を名乗る男が訪ねてきた。

「すまんが、印を掘ってほしいんだ。報酬は弾ませるつもりだ。」

「そうかい、それはうれしいね。」

男は紙に模様を描いてアスモデウスに渡した。

「明日また来るからその時までに作っておいてほしいんだ。そうだな、太陽が丁度真上あたりに来るときに来るとしよう。」

そういうと、男は麻袋から金属の棒を取り出した。

「この棒を加工して作ってもらいたいんだ。君の職人の心を期待しているよ。」

何かと注文の多い客だと思ったがそれでも依頼を受けることにした。

 翌日、昨日の男とは違う老人が来た。服はボロボロで、持っている袋は小さかった。

「どうしたんだい爺さん。」

老人はアトリエの奥をのぞき込むとこういった。

「お前さん、特殊な印を持っているようじゃな。わしにそれをくれぬか?。」

「なんだ急に、爺さん何者だよ。これは他の客に出す物なんだ。あんたにはやれない。」

「そこをなんとか、代わりに代金はお前さんの言い値を支払う。」

「そうは言ったって爺さん、見るからに金なんて持ってなさそうじゃないか。」

「それはどうかな?」

そう言うと老人は小さな袋をさかさまにして振った。すると、みるみるうちに大量の金貨が出てきた。

「爺さん、あんた何者だい。」

「わしはただのおんぼろ爺だ。で、どうだい?その印を譲ってはくれぬか?」

しばらく考えてアスモデウスは答えた。

「いや、だめだ。いくら金を積まれたとしても譲ることはできない。」

「そうか、それはしょうがない。」

そういうと、老人はおんぼろのローブを脱いだ。

するとどういうわけか、目の前に老人の姿はなく昨日きた神聖教会の男が立っていた。

「そなたは誠実な人間だ。姿を隠していてすまない。私は神聖教会のものでもないのだ。正義の女神アシュラムの使いなのだ。天界にて使う印を地上の人間に頼むつもりだったのだが、この金属は誠実な心の持ち主でしか加工することができないのだ。そこで鍛冶師を探しているところにお前さんを見つけたというわけだ。」

アスモデウスはこの話が信じられないようだ。

「では、この袋を代金としてそなたに譲渡そう。」

そういうと印を手に取り、店の外へ出て行ってしまった。


その後袋をもらったにもかかわらず、アスモデウスは毎日働いた。

少しばかり生活の質を良くして。





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