場外乱闘~タイトル~

このコーナーはライトノベルの巻末によくある座談会的なあれです。


本編の内容、時系列を完全無視した楽屋オチ的なあれです。


不定期でちょいちょい挟んでいきます。


カノン「ねえねえ」




俊助「なんだよ」




カノン「あんた、私が主人公の小説に『魔法少女マジカルカノン』ってタイトルをつけたんでしょう?」




俊助「そうだよ。それがどうした?」




カノン「本当にそれでいいの?」




俊助「え?」




カノン「だって、最近の流行っているライトノベルのタイトルって異様に長くて説明的じゃない。『俺の兄貴がこんなにマッチョなわけがない』とか『僕に友達がすくないのはきっとゾンビだからだ!』とか『俺の彼氏と兄貴と伯父貴が壮絶な殴り合いをしています』とか……」




俊助「わっ!それ僕の本棚にあったやつ!勝手に人の部屋に入るなよ。まぁ、確かにそうだ。でも数年前は『マジマゾ』とか『ドラモン』とか『スケキヨ』とか四文字が多かったんだぞ」




カノン「流行り廃りの講釈はどうもでいいわ。要するに、賞を取ったり作家としてデビューすることを考えるなら、そういう流行りに乗っかった方がいいんじゃないって言いたいの」




俊助「僕は流行りに迎合するつもりはない。僕の小説は内容勝負だ。安易に流行りに乗っかってとんでもないタイトルをつけると、ネット上であざ笑われるだけだ。ひでぇぇタイトルww、見たいな感じで」




カノン「気持ちは分かるけどさ。どういう形であれ、一度は流行りに乗っかって作家として陽の目を浴びないと先に進まないんじゃない?」




俊助「ふむ。どうしてお前がそこまで長いタイトルに固執するのか分からんが、一理あるな。しかし、どういうタイトルがいいんだ?」




カノン「うふふ、ちゃんと考えてあるわよ『かわいい魔法少女が世界を救いました。』なんてどう?」




俊助「それってタイトルというよりも小学生の読書感想文だぞ。しかも救いましたって、いきなり結末が分かるようなことを書いてどうするんだ」




カノン「う~。いいタイトルだと思うんだけどな。じゃあ、シュンスケは何か思いついたの?」




俊助「そ、そうだな……。『この魔法少女は魔法が使えませんが暴力なら得意です』とか……ぎゃぁぁぁぁぁぁ、コブラツイストはやめろ!」




カノン「もうちょっとマシなのを考えてよ」




俊助「十分マシ……いえ、なんでもないです。そうだな。『貧乳魔法少女が……ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ、バロスペシャルはやめろ!!」




カノン「はぁはぁはぁ。無駄な体力使わせないで。ちゃんと真面目に考えなさいよ」




俊助「そう言われてもな……」




レリーラ「オレ、いい案があるで」




俊助「おおっ。いきなり登場かよ」




カノン「どんなのですか?先輩」




レリーラ「にゅふふ、聞いて驚け『実録!可憐な魔法少女が垣間見た激闘の記録』どや!」




俊助「いろんな要素を詰め込みすぎて、もはや意味が分からんぞ」




カノン「ちなみに可憐な魔法少女って誰です?」




レリーラ「勿論オレや。激闘しているのはカノンな」




俊助「ただ見ているだけかよ」




レリーラ「ふふふ。オレは歴史の証人なんや」




カノン「はぁ、いいタイトルないかな……」




レリーラ「何や?気に入らんのか……」




紗枝「ありますあります!超あります!」




俊助「おお!紗枝ちゃん。こういう時に頼りになるのは動々研のメンバーだな」




紗枝「そうですよ、こういうのはオタクに任せてください。『乱れる学園の情事~堕ちていく男たち~』」




俊助・カノン「「えっ??」」




紗枝「学園で乱れる男達の痴情。窓際に佇むN田先輩を背後からD醐先輩が抱きすくめた。D醐先輩の膨張したものがN田先輩の臀部に当たり、N田先輩も人知れず己自身のものを膨張させ……はぁはぁはぁ……」




カノン「???」




俊助「わぁぁぁぁ!何言っているの、紗枝ちゃん!それにその話、もう魔法少女関係ないよね!しかも、N田先輩って……!」




紗枝「駄目ですか?」




俊助「駄目駄目駄目!未来永劫駄目!」




紗枝「ショボーン(´・ω・`)」




俊助「顔文字使うのやめなさい。それも最近のラノベによくあるけど、縦書きだと見難いだけだ」




美緒「じゃあ、こういうのはどう?」




俊助「美緒……大丈夫かよ」




美緒「私、オタクじゃないけど、ラノベだっけ?そういうのは読んでいるわよ。『フルスチール・パニッシュ』シリーズとか『焚書』シリーズとか」




俊助「鉄板だな。で、お前が考えたタイトルは?」




美緒「そうね……以前は四文字のタイトルが流行っていたんでしょう?だったら、四文字熟語はどうよ?」




俊助「ほほう。期待はできそうもないが、一応聞こう」




美緒「『五里霧中』とか『奮励努力』とか『天地無用』とか……」




俊助「もはや適当に四字熟語を並べているだけだろう!それに一番最後のやつはもう存在する。帰れ!」




美緒「ショボーン(´・ω・`)」




俊助「だから、それはやめろ!」




カノン「はぁ、誰かいいタイトル案ないの?」




デスターク・エビルフェイズ「これはどうだ!『昨日までは魔王』」




カノン「昨日までって何よ?今日からは何なのよ?」




サリィ「『悪の女幹部はどーてー君を虐めて興奮するんですけど』なんてどう?はああん、ぞくぞくするわ!」




俊助「そのタイトルを言って、どうして僕を見る?絶対駄目だ、そんなタイトル!」




リンド「『私の許婚はばいんばいんで従順な乙女』なんてどうや?ええやろ?」




レリーラ「却下や、却下!考えるだけでおぞましい!」




秋穂「『お兄ちゃんだから愛があろうがなかろうがいろいろ起こっても問題ないよね』はどうです?はぁぁん、なんて素敵なタイトルなんでしょう」




俊助「あってもなくてもって何だ?内容的に完全に十八歳未満お断りだろ」




レリーラ「『実録!可憐な魔法少女が垣間見た激闘の記録』やって!」




紗枝「『背徳のキャンパス~薔薇貴族と漢達~』ですよ!」




美緒「『正法眼蔵』『只管打座』がいいわよ!」




デスターク・エビルフェイズ「『一番びりっけつの魔王様』しかないと思うが……」




サリィ「『団地妻昼下がりの危険なアルバイト』一択じゃない?」




リンド「『私の許婚はボッキュッボンで慎ましやかな淑女』ええな、これ……」




秋穂「『お兄ちゃんといろいろあって大変なことになりましたけど仕方ないよね』これでしょう!あああ、私もいつか……」




俊助「……カノン。タイトルどれにする?」




カノン「……『魔法少女マジカルカノン』でいいです……」

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