インターミッションⅠ

~独白~

 ほう。


 思わず感嘆の息が漏れてしまった。


 あの少年、なかなかやるものだ。私が書き換えた世界を元に戻してしまった。


 あの少年も『創界の言霊』の使い手なのだろう。その力は私に匹敵、いや、あるいは凌駕しているかもしれない。


 ただ、まだ力の使い方を知らないようだ。私から言わせれば力の使い方がとても荒い。雑だ。


 『創界の言霊』は世界を変える力。しかし、何でもかんでも変えることができるわけでなく、必ず理に沿っていなければならない。


 理をルールと言い換えてもいいかもしれない。ルールの範囲内では好きにできるが、ルールを外れてはならない。


 あの少年は、まだルールを知らない。『那由多会』の連中も気がついていない。当然だ。私が作り上げたルール、理なのだから。


 しかし、だからこそ、面白くもあった。あの少年が紡いでいく物語がどこへ向かうか?『那由多会』の連中はどういう結末を望むのか?楽しみであった。


 いずれ私の物語とも接触するかも知れない。いや、私が干渉した時点で、すでに私の物語と接触しているのだ。


 そして、あの少年の力は私に追いつき、追い越すだろう。


 そうなれば、私はあの少年を仲間に引き入れなければならない。少年の『創界の言霊』がそこまでのレベルに到達できれば、少年も私の誘いを拒まないだろう。


 これで『那由多の世界群』がまた動き出す。


 私は、底知れない楽しみを感じていた。

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