アニメの道具を規制大国日本で商品開発会議に出してみた

T-たっくん

　私の名前は、内村　大治と申します。株式会社「T-たっくん」にて商品開発部に所属しております。

　商品開発部に在籍して今年で10年目になる32歳です。私の仕事は、簡単に言うと、様々なジャンルの商品開発案を提出することです。開発案が認可されれば、それが新商品開発として弊社の開発本部に送られ開発される事になります。商品化はまだまだその先に続きますが、私は「このような商品を作りませんか」と言うのが仕事になります。車で例えると、自動運転車を開発しませんか？と企画を出すのが私で、その後の開発は別の開発者がやるという事です。ジャンルは様々です。ジャンル関係なしに、なんでも商品開発案を出すというのが私の任務です。

　しかし、商品開発案を通すのが本当に難しい。。。日本は、何かとややこしい。自動運転に関しても日本では規制が厳しくて、実際の道路でテストが出来なくて技術が遅れているとの話も聞きます。このように規制や法的なものに引っかかり、開発が困難な商品に関しても「今はこの商品を開発する時ではない」という理由で廃案になる事もしばしばあります。

　さらに、この会社では、寺沢部長が本当にややこしい。もう、クレーマーレベルで難癖を付けてきて、商品開発案として認可されるのは年に2～3件しかありません。そんな中でも、商品開発は続けていかなければなりませんので、毎週の商品開発会議に向けて今日も商品開発案を持ってきました。

　商品開発案　(仮称)タケコプター

商品概要：頭に直接取り付け、ヘリコプターのように羽を高速で回転させ自由に空を飛べる商品

本日はこれで勝負します。

寺沢部長からの懸念点は以下になります。

・頭に直接付ける事による健康被害は？

　頭に直接付ける事による脱毛等の健康被害が出る恐れはないのか？帽子等の上からの取り付けは可能か？

・自由に飛ぶことは日本国内で可能か？

　ドローンでも飛行禁止区間が多い日本で自由に空を飛ぶことは可能か？

・免許関係は？

　空を飛ぶことに関して免許は必要ではないのか？

・ヘリポートの様な設備が必要ではないか？

　街中で自由に飛んだり降りたりすることに関して問題はないのか？

・飛行可能時間は？

　一回の充電でどのくらい飛行が可能なのか？また、飛行中の電池切れが生じた場合の安全対策は？

本件、お答えさせて頂きました。

・頭に直接付ける事による健康被害に関しては、実際に飛んでいる画像を確認する限り、特に痛がっている状況は見られず、また帽子の上から付けて飛んでいる場面もあることから、健康被害は無いと思われます。また、長髪の女の子も付けて飛ぶことが出来ており、タケコプターに髪が巻き込まれる事案も確認出来ていません。

・自由に飛ぶことは日本国内で可能かに関しては、画像を確認する限り、飛行区間に関して注意を受けている状況は確認出来ませんでした。しかし、皇居周辺や米軍基地等の上空で飛行する事は問題があると考えられます。

・免許関係に関しては、小学生が使用している画像から、現状では、特に必要ないと思われますが、商品開発が進めば規制されるのは間違いないと思います。

・ヘリポートの様な設備が必要ではないかとのご指摘ですが、画像を見る限り飛行時における周りへの強風などの影響はなく、ヘリポートの様な大きな設備は必要ないと思われます。しかし、着陸時の安全確認等は必要だと思いますので、着陸地点の整備は必要と思われます。

・飛行可能時間に関しては、おそらく連続使用で1～2時間かと思われます。途中での電池切れの場合は、落下している画像もあり、安全対策に関しては多少、改善の必要があると思われます。

　残念ながら、商品開発案　(仮称)タケコプターに関しては、廃案になりました。寺沢部長の見解は以下になります。

　(仮称)タケコプターは、街中の着陸に関して大きな問題を抱えている。また、安全対策に関しても十分ではなく、事故の発生する可能性が高いと思われる。日本の空は、まだ自由に使える状況ではなく、開発にあたり空の規制が大きなネックになる。今後、空の使用に関する規制関係が緩和されない限り、開発のメリットは感じられない。

　これにより、(仮称)タケコプターは弊社では開発されないことになりました。夢の道具実現の為、今後も頑張っていこうと思います。