A...regret

床町宇梨穂

A...regret

僕は彼女の事が大好きだった。

古い言葉だがゾッコンと言う感じだった。

しかし、一つだけどうしても我慢できない事があって別れてしまった。

顔はそこら辺のアイドルよりかわいい。

体はJJのモデルにも劣らない。

性格は彼女の一番いいところだ。

つまり完璧な女の子だった。 

ひとつの事を除けば・・・。

彼女はジャンキーだった。

僕は何度もやめてくれと訴えたが、週末に少しやるだけだから大丈夫だよなんていつもの笑顔で取り合おうとしない。

僕もたかがマリファナだし、しょうがないかとも思ったが、いっさいドラッグをやらない僕にとってはどうしても気に入らなかったし、最初はみんなマリファナぐらいなんて言っていながら、だんだん冷たいやつをやるようになっていくのだ。

僕達は結局別れてしまった。

喧嘩をしたわけじゃないし、お互いを嫌いになったわけではない。

僕の中で、どこか無理していた事が表面に出てしまっただけだ。

雨の日に昔傷めた膝が痛むようなものだ。

彼女は泣いてもう二度としないからなんて言っていたが、今度は僕に隠れてこそこそやるのは分かりきっているし僕がそれを見つけてしまうのはもっといやだった。

自分の好きな事を他人にとやかく言われるのは癪だったと思う。

僕だってそうだ。

他人に関係ない事を干渉されるのは我慢できない。

でもそんな事をおくびにも出さないで彼女は僕の理想の女の子になる様努力すると言った。

涙と言う女の武器まで使って・・・。

しかし、僕の心はその涙まで凍らせてしまうほど冷たくなっていた。

もう我慢できない。

それから、彼女は毎日の様に電話してきたし、僕の家にもやってきた。

でも、僕は友達以上の関係は持たなかった。

正直、僕は何度も彼女の事を許そうとした。

たかがマリファナだ。

でもその機会は訪れなかった。

いつの日からか彼女から連絡が来なくなって三ヶ月ぐらいの月日が流れた。

僕も新しい彼女ができていたので彼女の事を思い出す事もなくなっていた。

しかし、ある日偶然彼女に街であって成り行きで食事をした。

彼女は豹変していた。

まぶしくて昼間はサングラスが取れない。

肌はガサガサ。

病人の様に細い腕。

フラッシュバックが激しくてまともに会話もできない。

彼女がハードジャンキーになっている事は明白だった。

ショックだった。

こんな事になるのなら無理やりでもやめさせるべきだった。

しかし、彼女をこんな風にしてしまったのは僕だったのかもしれない。

それを彼女に尋ねてみてもまともな返事は返ってこないだろう。

僕は思わず彼女の前で泣いてしまったが、彼女は微笑みながらストローをかんでいた。

僕が今までの生涯で一番後悔している事。

それは彼女との事だ。

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A...regret 床町宇梨穂 @tokomachiuriho

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